綾瀬市美術協会の会長に就任した 羽渕(はぶち)完俊(さだとし)さん 寺尾本町在住 69歳
惜しまず愛し一石六鳥
○…創立27年、伝統を受け継ぎ第6代会長に就任した。協会の原点に返り、相互の教養を高め、親睦を図り、地域の美術文化向上に寄与することをめざす。組織を変更し、事務局や部会も設置。会の活性化やこれまで以上に地域社会へ貢献できることを願う。
○…中学生時代から興味はあったものの、絵画を本格的に始めたのは38歳の時。海上自衛隊の仕事が多忙を極める中、美術や音楽など5種のサークルに入り、敢えて週5日の昼休みを全て活動にあてた。持ち前の努力魂に火がつき、一人でも夜でも鍛錬できる絵画に自然と重点が置かれるように。多種多様なアドバイスから、良いものを吸収し自分のものにしていく。14年の努力の末、52歳で初のコンクール佳作入賞。54歳では全自衛隊美術展で2位にあたる「文部大臣奨励賞」を受賞した。以後コンクール受賞歴はずらりと並ぶ。「努力は生活信条です」
○…「60歳がハタチと思っています」。最近の日常は毎朝5時過ぎに起床し、横浜市内の養護学校で登校を見守り、藤沢市で庭木の手入れの仕事をし、綾瀬市の自宅で昼食をとり、また横浜へ向かい今度は下校を見守る。1日の移動距離は約50Km。「お金がもらえて、人の役に立てて、たくさん挨拶できて、大好きなオートバイにも乗れて。もう一石六鳥くらいですよ」。趣味は絵画の他にオートバイ、写真、尺八、船舶など両手両足まで及ぶ。「正確には『多忙』が趣味」。時が駆けぬけていく、青春真っ只中。
○…手がける絵画は富士山・ふくろう・太陽・月が目立つ。中学1年の時から年賀状と暑中見舞いは自己流の多色版画を作っているが最初の版画にも富士山が登場した。富士山は「常に憧れであり、日本の象徴」。同じようにふくろうは「福」を呼ぶ鳥として観る人の喜び、太陽は情熱、月には優しさを込めている。人への愛情、そしてそれを描き伝えるための努力を重ね、これからも精進していく。