創立20周年を迎えた「山綾会」の顧問を務める 大原 幸夫さん 大上在住 76歳
一歩一歩、たゆまぬ努力
○…自然の織り成す絶景、美味しい空気、疲労感の果てにくる爽快感―。山はいつも幸せをくれる。中高年の登山サークル「山綾会」を発足し、早20年。発足当初から安全を徹底し、危険も伴う登山に会員への配慮を絶やさない。定年間際、自分の第二の人生に選んだ「山登り」がひとつ節目を迎えた。
○…山の魅力に虜になったあの日の事は今でもよく覚えている。20歳の頃、友人に誘われて尾瀬を訪れた。まだ規制が何も無く、どこへでも足を踏み入れることができた当時、広がる一面の自然風景に何とも心が洗われた。忙しい仕事の合間をぬっては休みをとってさまざまな山へ登った。「おかげで全然出世なんてできなくて」と、苦笑するも、当時に撮った写真は最高の宝物。白黒の写真に写る若かりし青年は大自然の絶景に囲まれ、目を輝かせていた。その後、31歳で結婚を機に山登りは封印。30余年後、生涯学習で再び胸を躍らせるまで山を離れていた。古いアルバムはかなり擦れていて、何度も開いているのがわかった。
○…「山綾会」から派生して、救急時の対応を学ぶために赤十字奉仕団のボランティアや、自然保護活動として県の自然公園指導員も務め、綾瀬市内でも「長峰の森」で自然保護のボランティアをしている。自主的に講習会などにも参加し自分を高めていく。自分にはもちろん、時には他人に厳しい事もある。山にも人にも「お世話になっている分、恩返しするため」。豊かな自然の中で、自分も育まれてきた。
○…山は麓から山頂までたくさんの顔をもち、季節や時間によっても違う表情をみせる。一期一会の瞬間を収めようと、最近は大きなカメラと三脚を持って入山している。宝物を宝石箱に収めるように、シャッターをきる日々。「写真展ではそんな山の魅力を感じてもらえれば」。愛する山のために、これからも一歩一歩進んでいく。