神奈川県大和警察署の新署長に就任した 菅原 保さん 57歳
やるべきことをやる
○…3月19日付で綾瀬市と大和市を管轄する大和警察署長に就任した。綾瀬市と大和市あわせて31万人の安全を担う県内有数規模の警察署でありながら、そこで職務にあたる警官が重大な不祥事を重ねた。その結果、この春は管理職がほぼ刷新され、人心を一新しての再スタートとなった。「地域の皆さまにも心配をおかけした。警察官がすべきあたりまえのことを、全署員でしっかりやっていく」。そう静かに抱負を語る。
○…北海道出身。高校卒業後に上京して民間企業に就職した。しかし、テレビで見た駐在所員や警察官が地域から親しまれている姿に憧れ、20歳で神奈川県警察学校の門をたたいた。卒業後に横浜市緑区の緑署で警察官としての人生が始まった。一回の勤務が長時間に及ぶため、一睡もせずに勤務することもしばしば。「思ったよりも過酷でした」と当時を振り返る。警察官拝命から5年後に犯罪被害者給付金の初代担当者に抜擢され、被害者の苦しみを改めて知った。県内25署を渡り数々の役職を歴任、伊勢原、多摩に続き、大和が署長として3カ所目の任地となる。
○…署長と言う立場から、いざという時に備えた公舎でのひとり暮らしにも慣れた。その暮らしに欠かせないものは奥さんの手料理で、それを味わう時が「一番ほっとする」という。管内の名所を巡って俳句を詠むのが趣味。普段からいつでも書き留められるよう、筆記用具を胸元にしのばせている。
○…赴任時のあいさつで「強い攻め、堅い守り、恕の精神」という三本の方針を署員に示した。「犯人の検挙率を上げ、署員自らが襟を正し、思いやりのある行動を取る」ということをあらわした言葉だという。凛とした姿勢、静かな語り口調のなかには、相当な覚悟が見え隠れする。「地元の皆さんを裏切らないよう、原点を忘れずにまい進したい」そんな言葉がどこか頼もしく聞こえる。