市内のイベントなどで手話通訳ボランティアなどを務める 深迫 笑子(ふかさこ えみこ)さん 上土棚中在住 67歳
聞こえるだけで役立てる
○…緑化フェアやいきいき祭り、綾瀬のイベントで司会の横に立ち、小柄な体で大きな身振り手振りを使って「手話通訳」をする。聴覚障がいを抱える人にもイベントを一緒に楽しめるように、と15年ほどボランティアを続けている。
○…勤め先の工場の休憩室で、聴覚障がい者グループに話しかけられたことがきっかけで、手話を始めた。電話を代わりにかけるよう頼まれ、ただ伝えただけなのに喜ばれた。黙々と機械的に働く職場に咲いた笑顔がとても心地よかった。声にならない声と、身振り手振りのやりとり。しばらくして、手話の本を渡された。「ありがとう」など少し単語を覚えると、今度は仲間と行くバスツアーに一緒に来るよう頼まれた。「右手に何が見えるとか、集合時間とか、緊急時とか、聞こえる人が1人いるだけで彼女たちの安心感は格段にあがる。聞こえるだけで役に立てる事があると知りました」。初めて感じた『聞こえる人の世界』と『聞こえない人の世界』。仕事の合間をぬって、テレビや本、聴覚障がい者とのやりとりを通じ語彙や使い方を学び、5年ほどでボランティア登録できるまでになった。
○…8人兄妹の7番目。「笑子」という名前は、子守をしていた姉が「よく笑う子になるように」とつけた。現在の活動の根源には、喜ばれる笑顔、会話することでの笑顔がある。月2回開く手話サークルも基本は会話。「聴覚障がいの人だけでなく身体障がい者にとってもリハビリ的効果で、楽しくできる」。手話を通じ、笑顔の輪が広がった。
○…車いすの人にエレベーターのボタンを押したり「ボランティアは指1本でできる」。これからはもっと多くの人が手話やボランティアに理解を広め、笑顔を増やせたら、と願う。聞こえるだけで助けになれる、笑顔を返すだけでも、ひとつ単語を覚えるだけでも、笑顔にできることがある。これからも前向きに、楽しく、活動に取り組んでいく。