アマチュア野球審判員で国内初の「国際審判員」に合格した 山口 智久さん 早川城山在住 44歳
夢は東京五輪野球の審判
○…国際審判員は、全日本野球協会公認の資格。昨年4月導入の3級から始まるライセンス制度で、所属連盟などから推薦を受けた1級保有者が受けることができる。初開催の今回、参加した1級審判員は国内約1万人のうち30人。国際試合経験があったことから打診を受け、筆記や実技を経て21人の合格者の1人に選ばれた。「受験者は共に頑張る仲間であり、ライバル。試合とは違った緊張感があった」と振り返る。
○…明大野球部出身の縁で東京六大学野球の審判に誘われたのが、この道に入ったきっかけ。当時は職業柄土日休みが難しく、「それならうちに来ないか」と声をかけてくれたのが、「(株)向隆」の善波達也社長(現・明大野球部監督)だった。しかし、すでに埼玉で家を買い、子どもは生まれたばかり。悩み抜いた末に、綾瀬に居を移す決意を固めた。「今の自分があるのは、家族の理解と会社のみんなのフォローがあればこそ」と感謝の言葉を口にする。
○…埼玉県出身。現在は夫人と息子、娘の4人暮らし。野球は小学校からで、高校時代は甲子園の地区予選決勝まで進んでいる。審判になろうと思ったのは、「あと一歩届かなかった夢の舞台の土を踏めるかも」という期待もあった。今では社会人都市対抗野球や甲子園でも毎年審判を務めている。「やっぱり高校野球は違う。初心に返るというか。開会式は毎年感動してしまう」と感慨深げに話す。
○…「選手の道は諦めても、違う形で野球に携わることはできる。資格導入が、若い人が審判を目指すきっかけになれば」。早くて30代からの人が多いこの道で、目指すべきものが明確になるライセンス制度に期待を寄せる。目標は、2020年の東京五輪。競技種目に野球が復活すれば、国際審判員は選ばれる可能性がある。「正式種目候補には、空手もある。娘が空手をやっているので、親子で五輪に携われたら嬉しいよね」と父の顔を覗かせた。