春の叙勲で瑞宝双光章を受章した 川邊 溪子さん 早川城山在住 79歳
「夫婦二人三脚」の受章
○…公務等に長年従事し成績をあげた人に贈られる瑞宝双光章。社会福祉法人道志会が運営する老人ホームの園長として、地域福祉への高い貢献が認められた。「びっくりして頭が真っ白になってしまって」と、率直な感想を話す。法人設立者であり理事長を務める夫や、仕事優先で寂しい思いをさた娘、支えてくれた職員など「自分一人の功績ではない」という思いから固辞していたが、「市の名誉にもなるから」という笠間城治郎市長の一言を受け、受章の運びとなった。
○…同法人の前身は、夫が相模原で設立した保育園。園終了後の時間で塾の走りとなる取組みも展開するなど評判は良かったが、44歳で母を亡くした夫の「親孝行できる場を作りたい」という強い思いから、1981年に今の場所で老人ホームを開設した。資産全てを運営資金に回しての再スタート。「不安で最初は反対しました」と当時を振り返る。しかし、「離婚してでもやる」という夫に決意の固さを感じ、ついていく覚悟を決めた。
○…町田市出身。ものづくりが好きで農家に嫁ぎたかったが、「私、体が小さいでしょう。無理だと言われて」と首をすくめ笑う。同じ中学出身で2つ上の夫とは、20歳の時に結婚した。趣味は里山歩き。近場の城山公園をはじめ、富士の裾野などにもよく行くそう。その際、俳句を詠んだり、昔から大好きだという山菜取りをしたりするのが何よりの楽しみ。自然との触れ合いが、日々のストレス解消になっている。
○…「ホームの取組みに協力してくれていた中学時代の恩師が、とても喜んでくれたのが嬉しかった」。その恩師は受章を待っていたかのように、お祝いを贈ってくれたすぐ後に他界した。「私は夫が常々言っている『地域に貢献し、地域に褒められ、地域に活かされて生きるホーム』を実践しているだけ。夫婦で頂いた叙勲ですよ」と柔らかな笑みで話した。