イラストレーターの娘と「二人展」を初めて開催する 久保田 良三さん 綾西在住 90歳
卒寿の記念 彩りに溢れ
○…「いつか2人で展覧会をやろう」。ずっと思い描いた夢が、実現する。娘の井上リエさんの年齢と自分の年齢をかけ、「GOGO(55)+90(ゴーゴーナインティ)」と銘打った。ここには、「父のように好きなことを意欲的に楽しんでいると元気になれる。元気な90歳目指しGOGO!」というリエさんの思いが込められている。
○…絵を描き始めたのは、会社員時代。もともと絵を描くのは好きで、休みの日にノートにスケッチをしていた。定年後、地域の絵画クラブに所属し油絵を本格的に習い始める。主に故郷の信州の山々や身近な草花、旅行先で心動かされた風景を描いていた。70半ばに差し掛かったころ、座って描ける水彩画に転向。「絵はそのままを写すわけではなく、自分の感性でアレンジすることができる。それが楽しさであり、魅力」と楽しげだ。
○…長野県松本市の出身。祖先は松本藩の武士の家系で父は教員と、厳しい家庭で育った。18歳で旧制の中学校を卒業した時は、太平洋戦争末期の1945年3月。小学生の頃に展覧会に飾られるほど得意だった絵も、生きることに必死で職業にするという選択肢すら頭にない時代だった。終戦後、食い扶持を稼ぐため函館でのスルメ作りなど各地を転々とし、20歳半ばで法政大学を受験。経理・財務を学び会計事務所に就職した。結婚し、子宝に恵まれ住宅購入を機に綾瀬に転居。同郷で価値観の合う夫人と2人、手を取り合って困難を乗り切ってきた。
○…孫にも恵まれ、一人は東京芸大で音楽を学ぶ芸術一家。自身の影響か、絵の道に進んだ娘と行う展覧会も嬉しそう。「見どころは自然の風景。草花もだけど、特に故郷の信州魅力が詰まっている。自然の風を感じてもらえたら」と語った。