愛川・清川版 掲載号:2019年5月1日号 エリアトップへ

認め合い支え合う やさしい社会へ 愛川舜寿会常務理事 馬場拓也さん

社会

掲載号:2019年5月1日号

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木の温もりと自然の息吹が調和した園舎は、様々な角度から切り取ってもアート性を感じる優れたデザイン
木の温もりと自然の息吹が調和した園舎は、様々な角度から切り取ってもアート性を感じる優れたデザイン

 愛川町の特別養護老人ホームミノワホームを運営する社会福祉法人愛川舜寿会が今年4月、愛川町からほど近い厚木市上依知に「カミヤト凸凹保育園」を開園した。介護から保育へ、新たな一歩は、現代の地域課題を解消するための必然であり、置き忘れてきた大切なものを取り戻す挑戦でもある。

 木の感触が心地よい園舎に風が吹き抜ける。「雨の日は廊下が濡れることもあります。経年劣化もするでしょう。でもそれが自然なこと」。愛川舜寿会の常務理事を務める馬場拓也さんは、あえて自然素材を選択している。保育園の名称の凸(デコ)と凹(ボコ)は、人が普遍的に持つ長所と短所を意味している。「誰もが持つ凸に着目し、誰もが持つ凹をみんなで埋めあう。子どもの成長にきっちりしたスケジュールなんてないし、差があるのは当然。そのなかで、凸を発掘することは大人の役割です」。

 同園では、障がいを持つ子どもの保育も行っているが、皆が分け隔てなく同じ空間で過ごす。たとえ障がいがあっても、一つの事に真剣に没頭できるなら、その集中力がその子の凸の部分。一緒に育っていくことで、子どもたちも自然にそのことを認識していく。

 馬場さんが地域の課題として保育のあり方を見つめ、この理念の必要性に気付いたのは数年前。保育園の運営実績がない法人ながら、厚木市が長年の社会福祉法人としての経歴を評価。開園が実現した。「この保育園の理念に共感してくれた素晴らしいスタッフが揃っています。たとえ何年かかったとしても、この理念を表現し続けていきたい」。自身も2児の父。貴重な人格形成期の子どもたちを預かる責任感と理念は揺るぎない。

共生社会の未来図

 馬場さんは、イタリアのファッションブランド「ジョルジオアルマーニジャパン」のトップセールスマンとして活躍。2010年に介護業界に飛び込んだ異色の経歴を持つ。様々な世界の知見を活かし、幅広く郷土愛川の地域課題に目を向ける。

 2016年には、長くミノワホームを囲っていた壁を取り壊し、地域と特養の隔たりを無くす「ミノワ座ガーデン」を開設した。「今の社会は『地域』と『介護』が分断されてしまっている部分があると思います。地域と介護をグラデーションのように、自然に繋ぐ方法はないか。この課題を解決するためには、壁を壊す必要があった」と馬場さん。

 事実、誰もが出入りできる庭ができたことで、日常的に施設利用者と近隣の通行人との間に会話が生まれている。「通学で目の前を通る子どもたちも、普段から介護の現場を目にすることで、それが自然になっていく。介護の現場をもっと町の風景に溶け込ませることが、共生社会の種まきになる」。介護も、障がいも、人の凸凹も、自然に認め合い、支え合える「やさしい社会」。それを実現する鍵は、地域に住む人々の心の繋がり。効率化や合理化を求めるあまり、現代社会は寛容と共生の大切さを置き去りにしていなかったか。地域と介護をつなぐミノワ座ガーデン、障がいや短所を認め合う凸凹保育園、それは、新しい時代の地域コミュニティを指し示す未来図になる。

ジョルジオアルマーニジャパンのトップセールスマンから介護の世界へ転身した経歴を持つ馬場拓也さん。磨き抜かれたセンスは新たな保育園でも発揮されている
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介護と日常を自然に繋ぐミノワホームの庭は、イベント会場などにも活用され、新たな人の触れ合いを生み出す空間になっている
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