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鎌倉 コラム鎌倉のとっておき

公開日:2016.10.21

鎌倉のとっておき〈第19回〉
姉妹都市〜上田市〜

  • 国宝安楽寺八角三重塔

 鎌倉市と長野県上田市は1979年11月5日、姉妹都市提携を結んだ。その経緯について当時の広報かまくらには「鎌倉市が市制施行40周年、上田市も市制施行60周年を記念し両市とも姉妹都市提携を計画していた」「上田市が市民3千人を対象にアンケートを行った結果、75%の回答者が鎌倉市を希望した」ことなどが書かれている。



 ただ、両市が歴史的に強い結びつきを持っていることも忘れてはならない。



 上田市は戦国時代に真田氏が活躍したことで有名(大河ドラマをご覧になっている方も多いだろう)だが、鎌倉時代には北条氏の一族、塩田北条氏の領地があった。また、「信州の学界」と呼ばれるほど学問が盛んで、寺院や遺物が今も多く残っている。



 当時の交流の一端を示すのが、建長寺を開山した蘭渓道隆と上田市にある安楽寺の中興開山・樵谷惟仙とのやりとりである。樵谷惟仙は中国に渡って禅の修行をし、帰国の際に蘭渓道隆と同じ船で帰ってきた僧。蘭渓道隆の残した大覚禅師語録では「建長與塩田各拠一刹」とあり、それぞれが建長寺と安楽寺で最先端の仏法と禅を教えていたことがわかる。



 安楽寺には蘭渓道隆の書状が残っているほか、建長寺には樵谷惟仙から観音像の図に賛文を書いてほしいという依頼があり、蘭渓道隆が書いて送ったという内容が書かれた「奉復 塩田安楽寺方丈」という表書き付きの書状も残されている。



 建長寺では毎年11月初旬、宝物を保存するための風入をし、一般公開もしている。こうした書状を目にする機会があれば、中世の鎌倉市と上田市の交流に想いを巡らせてほしい。



        浮田定則

 

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