鎌倉 コラム
公開日:2020.06.19
鎌倉のとっておき 〈第84回〉
お守り、いま昔
お守りといえば、学業成就や無病息災など目的は様々だが、鎌倉の寺社では個性豊かなお守りを授かることができる。
そもそもお守りは、身に着けたり住まいにお祀(まつ)りしたりして、災難を防ぎ神仏のご加護を賜るものだが、その始まりは、縄文時代に人々が魔除けとして身に着けた勾玉(まがたま)だとも言われている。
そして仏教の伝来後、平安期の貴族は、護符(災いを予防するまじないの力を持つお札)を納めた小さな木筒を錦袋に包んで首にかけた「懸(かけ)守(まもり)」を肌身離さず携帯するようになり、これが中世鎌倉の武士にも伝わっていったと聞く。
鎌倉とお守りに関しては、こんな逸話が残る。
1333年「建武の新政」で征夷大将軍に任ぜられた護良(もりよし)親王(後醍醐天皇の皇子)は、鎌倉宮の祭神だが、この親王が戦に赴く際には、兜の中に獅子頭の小さなお守りを忍ばせて自らを守っていた、というのだ。
これにちなみ、鎌倉宮では、大きな「獅子頭守」が拝殿に祀られ、お守りとして「板獅子守」を授かることができる。
このほかにも本覚寺では1日1回握ると福が訪れるという大きさ2cm程の「にぎり福」というお守りを、また長谷寺ではてんとう虫や苺をモチーフにしたお守りなど、色も形も様々なお守りを授かることができる。
古より神仏との縁(えにし)深き古都鎌倉。今も昔も、ここに暮らし、訪れる人々の願いにそっと寄り添ってくれるまちである。
石塚裕之
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