寒川駅北口のビルに「会員制につき」の扉がある。中には絵画が飾られ、マイボトル収納棚や商談にも使われた談話室、電話用のブースもあり格調高さが伺える。長年にわたり地元経済界の交流の場だった「さむかわ商工倶楽部」が、8月末をもって幕を閉じた。
発足は平成元年。地元の企業経営者たちが町内に工場などを構える企業のグループに交流を働きかけたのがきっかけだ。「商工倶楽部」という場は、近隣自治体にも存在したが、すでに姿を消している。寒川では10人ほどの会員が運営委員会を組織し、30年以上にわたり受け継いできた。当初は60社ほどの会員が名を連ね、接待や交流で賑わい、「寒川の迎賓館」と呼ぶ人もいた。賀詞交換や月見会など季節の行事、町長を招いての質疑といった勉強会、当時地元経済界で懸案だった環境問題について解決策を語り合う風景も。時が経つにつれ会員が高齢化し、バブル崩壊やリーマンショックで会員企業も大きく揺さぶられたが、倶楽部は何とか存続。現場を切り盛りした峯尾道子さん(69)の料理も好評で、通う人は絶えなかった。
しかし今年の新型コロナの影響は想像以上に団体予約のキャンセルが相次ぎ、4〜5月は2カ月にわたり休業。基本的に利益を上げない方針だったこともあり、やむなく閉店を決断したという。最終日の夜、初代委員長だった森孝さん(85)は「大企業の工場の面々と地元の中小経営者の交流も新鮮でしたね。地域のためにと思い運営してきました。コロナさえなければ」と名残を惜しんだ。
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