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寒川 社会

公開日:2024.03.01

〈番外編〉
人生100年時代の羅針盤
地域で多世代交流を楽しむ、岩元米子さん(82・小谷在住)の日常を紹介します。

  • 信玄芝原公園でふれあいのひととき=岩元さん(写真下・左)提供

信玄芝原公園に咲いた友情

〈寄稿〉岩元 米子

 数年前よりウォーキングを楽しんでいるが、ある日いつものコースを変え、信玄芝原公園でひと休みをすることにした。ちょうどその日は日曜日で、数人の若者たちが野球を楽しんでいるところだった。「お邪魔かな?」とためらいながらも公園の中に入っていくと、何人かの若者たちが椅子の荷物を片づけはじめ、「どうぞ」と案内してくれた。

 私は、そこで休憩をとり、野球を観戦しながら若者たちの元気なパワーをもらって帰ることにした。すると、一斉に手を振って、「さようなら。お気をつけて」と見送ってくれた。私はその光景に胸打たれ、感動すると共に、以前、教師をしていた頃の教え子たちの姿と重なって見えてきた。

 それからたびたび公園で出会うようになり、一緒に記念写真まで撮ってくれた。

 数カ月後、いつもの公園に行くと、手押し車を横に置き、ベンチで休んでいるご老人さんに会った。私たちは意気投合し、時間を忘れて話し込んでしまった。その日がきっかけで会う機会が増え、公園デートを楽しむようになった。ご老人さんは、御年が95歳とのことで、「この年になって、おもいがけずもこのような出会いがあり、とてもうれしいですよ」とにこにこおっしゃるその笑顔に私も癒され、2人の出会いに感謝の気持ちでいっぱいになった。

 ご老人さんは、よく大東亜戦争、第二次世界大戦中に経験した苦労話をなさるが、「今は息子夫婦と幸せに暮らしていますよ」と満面の笑みを浮かべ、話して下さる。まさに、酸いも甘いもかみしめて、乗り越えてこられ、人生を達観された穏やかな笑顔である。

 その後も、若者たちとの交流は続き、ご老人さんも加わって、楽しいひとときを過ごしている。私たちが帰る際には、手押し車を入口まで出してくれたり、手を振って見送ってくれる心優しい若者たちに、日本の明るい未来が見えてくるようなひとコマでもある。

 信玄芝原公園は、戦国武将・武田信玄にゆかりのある公園で、町の管理下にあると聞いている。高齢者と若者たちとの交流の少ない今の時代に、公園は老若男女を結ぶ大切な場所となっている。これからも益々絆を深め、交流の場として利用し、楽しんでいきたいと思っている。

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