平塚版 掲載号:2018年2月1日号
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県優良工場に市内から2社 平塚から全国に生産

経済

 神奈川県がものづくり産業の発展に貢献している企業を表彰する「2017年度優良工場」に市内から2社が選ばれた。FA関連システムや小型多軸ロボットを生産する株式会社バンテック(東豊田)と、精密自動プレス金型や精密治具を生産する株式会社ミドリ産工(東豊田)だ。平塚から全国へ技術を発信する2社に、喜びの声を聞いた。

センサー技術生かし開発も

株式会社バンテック


 1993年に市内で創業して以来、従業員13人の少数精鋭で、日立グループなど大手企業とも契約を結び、受注生産によって細かな要望に応えてきた。生産しているのは精密機械の中の制御装置や、工業系ロボットなど多岐に渡る。

 岩手県釜石市で生まれ、大学進学をきっかけに神奈川県に移った菊池晴雄代表取締役(69)は、就職した精密機器の製造会社で制御技術の知識を学んだ。「独立はいつかしたいと考えていました」と、40歳頃に起業。人材にも恵まれ、会社は25年目を迎えた。

 「受け身ではなく、こちらの持つ技術の活用法を提案していけるようなアプローチもこれからの時代は必要」と、企業からの受注生産を軸に置きつつ、自社製品の開発に挑戦するのが装置部第一課主任で息子の浩さん(46)だ。制御装置に使うセンサー技術を生かし、観光地や飲食店などで利用できるタッチパネル「デジタルサイネージ」や、農業や食品製造の現場で温度や湿度をコントロールできる「プログラム温度湿度調節計」などをリリースしてきた。

 現在は、ホログラムで立体感のある映像を見ることのできるデジタルサイネージを開発中。空中に映しだす映像タッチパネルの技術を盛り込み、物に触れずに操作することができることから、浩さんは「ウイルス感染などのおそれがある医療現場などで需要があるのでは」と話す。「課題は山積みですが、国の補助金の申請など積極的に活用して、今後も新しいものづくりに取り組みたい」と、製品化を目指す。

 菊池代表は「今後もセンサー技術の精度を上げていきたい。この業界は新しい技術や人材が大変重要になってきます。今はベテランも多いので、次世代の育成にも取り組んでいきたい」と会社の未来を見つめていた。

迅速サービスと挑戦心で40年

株式会社ミドリ産工


 今年10月に創業40年を迎える(株)ミドリ産工は、精密金型の設計製作企業。従業員14人ながら、約700種のアイテムを小ロットで製作する。

 金型製作56年の上原勇司代表(74)は、東京都出身。金型職人だった父の背中を見て育ち、高校卒業後に精密金型製造会社に就職、夢中で技術を学んだ。「当時は職人が独立する時代だった」と、34歳の時に伊勢原市で起業、19年前に市内東豊田に移転した。業界の将来図を見据えながら積極的に設備投資を行い、空調が完備された工場内には自慢の機械設備がずらりと並ぶ。

 上原代表が手に持つ長さ50㎜の金属部品(=写真)は、先端部分に約2㎜の人工ダイヤモンドを取り付けた特注品。高硬度のダイヤモンドは微細な削り出しが難しく、高い技術力が求められる。しかし同社は設計図との差異をプラスマイナス1000分の2㎜以下で製作するなど、受注元の厳しい要求に、きめ細やかに応え続けている。

 主要取引先はパイロットや日本端子、田中貴金属など大手企業が名を連ねる。こうした関係構築のために掲げるモットーは、「短納期」。新規開拓した田中貴金属は、上原代表が2年以上足しげく通い受注した。その際1週間後の納期だったのを「ミドリ産工のインパクトを残そう」と、上原代表は翌日に納品。こうした迅速なサービスの積み重ねが、現在の関係の基盤となっている。

 「挑戦する心を忘れないことが大切」と、受注生産のほかに中小企業庁が革新的なサービスに助成する「ものづくり補助金」を5回受託。0・02㎜以下の金属板の形状をを加工する金型づくりに挑戦するなど、新しい技術の開発にも取り組んでいる。

 上原代表は「価格競争だけでは先細ってしまう。他にはまねできないサービスや商品にこそ勝機がある」と鋭く瞳を輝かせた。
 

デジタルサイネージを囲む菊池代表(左)と浩さん
デジタルサイネージを囲む菊池代表(左)と浩さん
金属部品を手に持つ上原代表
金属部品を手に持つ上原代表

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