徳延在住の涌井颯輝(ふうき)さん(15)が湘南工科大学附属高等学校(藤沢)へ、弟の唯羽(ゆうは)さん(12)が実践学園中学校(東京)へ、卓球の強豪校へそれぞれこの4月から進学した。卓球に打ち込む兄弟の原点は小さな卓球クラブにあった。
始まりは公民館
2人の”故郷”は、旭南公民館(山下)で週一回水曜に開かれる卓球教室「下山卓球クラブ」。あまり運動が得意でなかった颯輝さんが小学1年の夏、体験教室で卓球にはまり、「もっとやりたい」と夢中に。当時、兄の背中を見るだけだった幼稚園年中の唯羽さんもそれに続き、卓球兄弟が誕生した。
もともと健康のためや、卓球好きが高じてのシニア世代ばかりが参加していた同クラブ。同年代の子どもは他にいなかったが、厚意で参加させてもらった。メンバーたちは兄弟がラケットに当てる度、「上手だね」と孫のように可愛がった。颯輝さんは「親戚のうちにいるみたいに温かかった」と振り返る。
好きこそものの上手なれ。はじめはお遊び程度だったが、メキメキと力をつける2人を見て、クラブの指導者・鈴木早苗さん(73)は、「基礎さえしっかりと身に付ければ一流になれる」と見込んだ。伝手を頼んでさらにレベルの高い練習ができる小田原のクラブチームを勧めた。
感謝の気持ちを忘れないで
それからはクラブで自宅で卓球漬けの日々。片道1時間かけて小田原へ送迎した母の彩香さん(38)は、「買って1年で4万Km。ディーラーの人にタクシー運転手でもこんなに走らないって言われちゃった」と苦笑い。それでも「感謝の気持ちを忘れてほしくない」と週1回は下山卓球クラブへ通い続けた。
今では颯輝さんは県で1・2を争う鴨宮中(小田原)のエース。唯羽さんは県代表チームとして全国選抜にも出場した。そんな2人も春から高校生と中学生。特に唯羽さんは8月から寮に入り、8年通ったクラブも卒業だ。颯輝さんは「ここから僕らの卓球がはじまった」。唯羽さんは「目指すは中学生ナンバーワン」と意気揚々だ。
彩香さんは「この8年、何をしていてもずっと卓球の話ばかり。大変なことがあっても、家族みんな楽しかった。これからもサポートしていきたい」と話し、鈴木さんは「きっと日本を代表する選手になる。今から将来が楽しみ」と笑みをこぼした。
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