連載【2】 検証・小田原の課題 再生可能エネルギー
2回目のテーマは「再生可能エネルギー」。東日本大震災による原発事故を機に再生可能エネルギーへの転換を求める声が全国的に高まっている。小田原の現状と取り組み、未来の可能性とは―。
求められるのは次の一手とスピード
▼太陽、水力、風力、バイオマス、地熱といった再生可能エネルギーは、化石燃料と比べCO2の排出がないため、これまでは地球温暖化防止など環境保護の観点から導入が求められていた。しかし、東日本大震災で原発事故が発生したことにより、原発に依存しない安全なエネルギーを求め、再生可能エネルギー導入の動きを加速させている。となりの静岡県に浜岡原発がある小田原にとっても、決して無視できない問題だ。
▼小田原市内で導入されている再生可能エネルギーの代表格といえば「太陽光発電」。市環境政策課の資料によると、2010年度時点で市内には1283カ所に家庭用太陽光発電システムが設置されている(一戸建て住宅普及率2・85%)。小田原市が住宅用の太陽光発電設置に補助を開始したのは00年度のこと。設置費用の四分の一以内を補助するという内容で、予算総額は600万円。27件に対する補助だった。年々需要が増大し、今年度は補正予算を追加して、予算総額を3700万円に拡大。383件(前年比357%)の枠を用意したが、結果、申込件数は予定数の20件減にとどまった。
▼昨年12月にスタートした黒岩祐治県知事肝いりの「かながわソーラーバンクシステム」は完全に行き詰まっている。「設置費用の10年償却」など格安プランをうたい、3月末までに1200戸への設置を想定したが、3月15日現在の見積申し込みは188件、成約したのは100件に届かないという状況だ。「補助金が終了した市町村が多く、周知が足りなかった」と県当局は話すが、原因は果たしてそれだけだろうか。ただ補助金を出して、金額を安くする手法だけでは頭打ちなのかもしれない。急激な時代の変化で、市民には迷いがある。この先、小田原市には市民の気持ちに立ち、十分に納得させる策を講じる必要がありそうだ。
▼小田原市は昨年、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長を行政戦略アドバイザーに迎え、エネルギーの地域自給をめざす動きを始めた。そして、官民協働で「小田原再生可能エネルギー事業化検討協議会」を立ち上げ、地域ぐるみで再生可能エネルギーの導入促進を図ろうとしている。協議会では今年12月までに太陽光発電事業会社を設立し、13年度からの事業開始を予定している。事業の柱となるのは「0円ソーラー」と「屋根貸しソーラー」。いずれも核となるのは市民と民間企業の出資金だ。協議会が実施したアンケートでは、理由は様々だが「再生可能エネルギーの導入を進めていく必要がある」と答えた市民は92%、「必要ない」と答えた市民はゼロという結果が示された。再生可能エネルギーには設置の初期費用が高額、発電量が不安定といったデメリットもある。それを踏まえた上で、市民が気軽に参画できる、わかりすい仕組みづくりが不可欠だ。次のリーダーが誰であれ、再生可能エネルギーへの転換の動きは止まることはない。求められるのはスピードだ。