粘土質の土壌に、程よい潮風。地元畜産農家から提供された牛糞堆肥をふんだんに使用した有機質たっぷりの畑で育つ下中たまねぎ。かながわブランドにも指定されている地場産品の可能性に着目した3人が、農事組合法人『俺たちのファーム』を立ち上げた。
生産量は年間700t程と決して多くはないが、オーナー園制度とブランド化によって、年々認知度を高めてきた下中たまねぎ。4年前からは郵便局のネットショップ「ふるさと小包」を活用して販路を拡大。初年度数百個だった注文は、右肩上がりに増え続けた。 一方、生産サイドの現実は厳しかった。たまねぎ農家の平均年齢は70歳を越え、後継者不足も相まって休耕地も増えていた。「需要があるのに生産が追いつかないのはもったいない」。酪農家の志澤栄治さん(53)がみかんを主に生産していた石塚明さん(42)と、亡き父の跡を継ぎ、脱サラして農家に転身した林やすなりさん(48)を誘い、今年3月法人を設立。休耕地を借り受けるなどして農地を確保し、法人としての生産に乗り出した。
現在、法人として1・5haの農地を管理する。今後は作付面積を倍に増やし、生産量を上げていく計画だ。だがここで一つ問題があった。「資金が限られている中で、どう労働力を確保するか」(林さん)。あちこちにアドバイスを求める中で「社会との接点を求めている」ニート・ひきこもり等の支援団体と出会った。 (次号へつづく)