2009年に火災で焼失した大磯町の旧吉田茂邸が再建され、本日4月1日(土)から一般公開が始まる=写真。歴史的価値を後世に伝えるため、町が郷土資料館の別館として、応接間棟と食堂、新館をよみがえらせた。
旧吉田邸は、養父吉田兼三が1884(明治17)年に建てた別荘を吉田が引き継いだ。増改築を重ね、1944(昭和19)年ころから67(同42)年に他界するまで本邸として暮らした。町はこのほど、3億円近い寄付金や国の交付金を活用し、約5億4千万円かけて再建した。
応接間棟の「楓の間」は、吉田没後に日米首脳会談が行われた客間。焼失を免れた虎の置物をはじめ、生前の写真や資料を基に復元した暖炉、革張りの応接セットや、犬養毅らが吉田にあてた書簡を表装した衝立の複製品などが設置されている。
書斎として使われた和室の黒電話は首相官邸への直通電話に使われていた。幾何学的なアール・デコ様式のデザインをとりいれた食堂「ローズルーム」も再現。最晩年の生活の場だった新館の「金の間」と「銀の間」からは、吉田がこよなく愛した富士山の風景を見ることができる。
町郷土資料館の國見徹館長は「周囲の邸園と対になる邸宅の特徴的な部分を中心に再現した。建物自体が展示資料であり、吉田茂が過ごした空間をぜひ感じてほしい」と話す。
入館時間は午前9時〜午後4時。観覧料は一般500円、中高生200円。月曜日と5月以降の毎月1日、年末年始は休館(3日(月)は臨時開館)。問い合わせは大磯町郷土資料館【電話】0463・61・4700へ。