小田原市で生活保護担当の職員が不適切な文言の記されたジャンパーを着用していた問題の発覚後、2月に発足した「生活保護行政のあり方検討会」が報告書をまとめた。これを受け4月30日、市福祉政策課は「利用者と支援者の壁をこえていく」をテーマにシンポジウムを開催、350人が参加した。
シンポジウムは、検討会で座長を務めた井手英策慶応義塾大学教授=人物風土記で紹介=の基調講演に続き、検討会のメンバーで元生活保護利用者の和久井みちるさん、大田区生活保護面接員の渡辺潤さん、加藤憲一小田原市長をパネリストに迎え、井手さんを含む4人のディスカッションで構成。井手さんは冒頭、ジャンパー着用に至った経緯とその後の市の対応を説明。ジャンパー問題の前後で変化した、生活保護の申請から利用開始までの日数など具体例も示し、「今回の検討会で議論した内容を、1年後に検証することに期待したい」と語った。
パネルディスカッションでは渡辺さんが、生活保護現場の労働条件や専門性の欠如等の背景がありながらも、「小田原市が変われば、全国の生活保護現場も変われるんだ、という展望がうまれる」と期待を述べた。
「保護のしおり」とホームページが更新
生活が困窮している人に対し、制度や利用の仕組みを知る最初の窓口となるホームページと「保護のしおり」が新しくなった。ホームページは簡素化し、カラー刷りでイラスト付き、漢字にルビがふられた新たなしおりは、生活支援課職員が約1カ月かけて改訂。検討会から出た専門用語多用の指摘を踏まえ、他自治体のしおりも参考にし、義務的な内容に終始した旧版に対し、生活保護利用の流れをより丁寧に説明している。
同課では今後、社会福祉サービスの充実を目的に、意見箱を設置する予定。またケースワーカーの資質向上をめざし、研修なども行う方針だ。
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