豊川小学校で昨年末に行われた学習発表会で、5年生の児童が地元の町工場で見聞してきたことを保護者らに披露した。成田の工業団地「テクノランド小田原」の協力により、初めて実施された取り組みだ。
「せっかくなら、地元の工場を見学してみないか?」
工場について学ぶ5年生の社会科の授業で後藤洋介教諭が呼びかけたところ、児童らは「行ってみたい」と大賛成。さっそく知人の紹介を得て、テクノランド小田原に協力を呼びかけた。製造業や流通業など11社で構成され、学区内にあるため児童にも馴染み深い工業団地だ。
一方、こうした依頼を受けるのは、テクノランドにとって初めてのこと。同協同組合の若手組織「11Cnet」で検討するなか、「小学生に楽しんでもらえることなんてあるのか?」との意見もあがった。地域との関わりが薄い町工場だけに勝手が分からず不安もあったというが、「身近にこんな仕事があると知ってもらうことで、将来地元にとどまるきっかけとなれば」と6社が協力を名乗り出た。
児童らは10月末、グループに分かれて担当の会社を訪問した。プレス加工を行う(株)阿部製作所では、月に億万個単位で生み出されるバイクの部品などの製造工程を見学。(株)西山製作所では、製造する銅管が街で目にする清涼飲料の自動販売機に使われていることなどの説明を受けた。
学んだ内容は、12月の学習発表会で披露。業務内容から社名の由来までロールプレイングや紙芝居、壁新聞にまとめあげ、「いつも前を通っている工場で、自分たちが普段使っているものが作られていることに驚いた」と話す児童もいた。発表会は受け入れに協力した企業も見学。神静流通センター(株)の高野剛さんは、「何を子ども達に見せるかを考えることで自分たちの仕事を振り返る機会となり、作業の見直しにもつながった」と思わぬ効果もあったと話す。
後藤教諭は、「目の前で見た仕事が身の回りに生かされていることを実感したと思う。将来の職業選びにも役立ててもらえたら」と感想を話した。壁新聞は同小のホームページでも公開している。