上位6人がIHの切符を掴む男子走高跳で谷本健瑠さん(3年=写真)がジャンプオフ(同じ記録同士で追加試技を行う順位決定戦)を制し、最後の一枠に滑り込んだ。
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足を痛めていた影響からか、ジャンプオフ直前に弱音を吐くと、宮川雅道顧問からは「だったら棄権を伝えてこい」と返された。「記録じゃない、3年間やってきたベストな跳躍を見せることだけだぞ」。続いた言葉を自分に言い聞かせた。「跳べば勝ち。自分を信じて」
向かうバーの高さは1m98。それはこれまで越えた事のない未知の領域だ。だが相手の失敗を目の前にしても、頭の中は理想の踏切を思い描くだけで、冷静だった。腱の強さを活かしたバネのある跳躍で身体は宙へ。土壇場での1発クリアに、思わず拳をつきあげた。県予選に続く2度目のジャンプオフを終え「追い込まれた方が力が出せるみたい」と笑った。
2年生で自己ベストを出して以降伸び悩みの時期があった。跳べていた高さすら越えられず「悩んで逃げちゃダメと気づき、開き直った」。これまで以上に周囲のアドバイスに耳を傾け、練習で反復しては自分の跳躍を形づくってきた。
「まだ全国で通用するような記録じゃない。2mを越え、決勝に残りたい」。理想とする形をようやく掴めた高校最後の夏。控えめに、だが自信を持って、大舞台に挑む。
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