日本とタイの自治体職員や大学関係者らが、高齢者福祉について相互に学ぶ「withコロナ時代の高齢者ケア 日本とタイの学びあい オンラインセミナー」が6月17日、テレビ会議システム「Zoom」を利用して開催された。
両国の交流促進などを目的とする市民団体「野毛坂グローカル」(奥井利幸代表、横浜市)、福祉分野で湯河原町と覚書を結ぶタイのブンイトー市、タマサート大学の共催で初めて実施。両国の医療福祉介護関係者をはじめ学生ら約150人が参加した。
奥井代表によると、タイでは日本と同様に高齢化が課題となっている。今回のセミナーは、特に新型コロナウイルスの蔓延に関連し「ステイホーム下での精神的ストレス、虚弱化などの悪影響」「IT技術の活用」などについて、双方の取り組みを学び合うことで課題解決につなげたいと企画された。
取り組みに自信
日本側からは、県高齢者施設協議会の加藤馨理事長が「日本では高齢者施設の入居者が約100万人いるが、施設内で新型コロナウイルス対策を講じ、感染者数は少数にとどまっている」と発表。また小田原市内の特別養護老人ホーム「ジョイヴィレッジ」の熊谷久子施設長は、テレビ会議やガラス越しでの面会などの対策を紹介した。
タイ側からはブンイトー市のランサン・ナンタカウォン市長が参加。同市のウイルス対策を説明したほか「ブンイトー市では厳密なロックダウンの中、市民同士で支援し合う人が多かった」と報告すると、両国の参加者から多数の称賛の声が寄せられた。
参加したブンイトー市職員のパッタナシン・インジョムさんは「学び合いを通じ、市の取り組みを進める自信につながった」と語った。奥井代表は「タイとの関係を深めることで、日本への高齢者ツーリズムの活性化だけでなく、人手不足が深刻化する日本の福祉施設への、タイからの人材提供促進にも期待できる。画期的なセミナーになったと思う」と話した。