県産キャベツと市内産柑橘をエサにした「小田原ウニ」。食用として商品化しようと、小田原市漁業協同組合青年部が、昨年から取り組んでいる畜養プロジェクトが2年目を迎えている。
藻場が減少する「磯焼け」の原因の一つとされ、天然ものは食用することも難しいことから駆除対象とされてきたウニ。2017年に県水産技術センターが養殖技術を開発したことを受け、同部では昨年からムラサキウニの畜養に着手した。今年は専用ケースから海中での飼育に変更し800個を畜養。エサ量を4倍に増やし、新たに湘南ゴールドを与えるなど工夫を重ねてきた。
出荷時期を前にした7月2日には試食会が行われ、約30人の関係者が見守る中、10個のウニが次々と割られていった。十分に身が入ったものから空の状態に近いものまでばらつきがあり、同センターの臼井一茂研究員は「まだ産卵期まで遠いものもある」と分析。試食した関係者も「味は良いが身入りが安定しないと商品としては難しい。まだ道のりは遠い」と感想をもらす。
だが昨年と比べ黒ずみが消え色味に改善がみられ、古谷玄明部長も「全体的には良かったのでは」と評価。「まだ手探りだが引き続き取り組みたい」と続けた。なお今年の飼育分はすべて出荷先が確定しているという。