昨秋の台風による影響で一部が崩れ落ちた、小田原市東部を流れる森戸川の護岸。災害復旧工事の遅れから崩落箇所が拡大し、台風シーズンを迎えて地域住民からは被害拡大を懸念する声が上がっている。
災害復旧工事が行われているのは、小田原市国府津の第1森戸橋そばの左岸。昨年10月の台風19号の大雨から1週間後に約40mが崩落し、神奈川県県西土木事務所小田原土木センター(以下・県小田原土木)によって大型土のうやブルーシートなどで応急処置が講じられてきた。国の災害査定を受けた後、今年3月から本格的な工事が始まったが、7月と9月の長雨や豪雨で川が増水したため工事が中断。その間に工事現場内の2カ所がさらに削られ、新たに隣接する約5mが崩落するなど被害が広がった。土手がえぐられ、崩落部が住宅地の1m程まで迫る箇所もあり、「次に台風が来たら家ごと流されてしまうのではないか」と、近隣住民から不安の声が聞かれる。
「認識足りず」
地元住民の要望を受け、県小田原土木は9月20日に左岸、22日に右岸の近隣住民に対し説明会を開催。工事の遅れに対し「本来なら9月末の工事完了を予定していたが、予想を超える長雨で大幅に遅れている」と説明した。住民からは「そもそもなぜ出水期に工事の計画を立てるのか」、「昨秋の崩落から工事着工まで約半年間を要しているが、災害復旧工事は国の災害査定を待たず、発災直後から実施可能だったのではないか」という質問が出たが、その場で明確な回答はなかった。本紙の取材に対し県小田原土木は「国の災害査定制度についての認識が足りなかった」と、対応の不備を認めた。
現在は災害復旧工事と並行して被害の拡大を防ぐための作業が行われている。国府津8区自治会長の木村宗嗣さんは「切実な思い。住民の命と財産を守るために、明確な説明と一刻も早い修繕を望んでいる」と話している。 =9月23日起稿
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