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箱根で広がる移住者支援 民間団体「ハコネステイル」

社会

公開:2022年4月30日

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コワーキングスペースや交流の拠点としても活用されているcotohaに集う、鈴木さん、黒澤さん、松崎さん(右から)
コワーキングスペースや交流の拠点としても活用されているcotohaに集う、鈴木さん、黒澤さん、松崎さん(右から)

 箱根町のお試し移住体験「箱根トライアルステイ」の今年度の参加募集が始まった。6月1日(水)から11月27日(日)までの期間、14日間ずつに分けて合計10組が、古民家をリノベーションした「cotoha(コトハ)」に宿泊し、箱根の暮らしを体験する。2020年度は7組の募集に対し77組が、21年度は10組に対し98組の応募があった。7年目の今回も募集開始直後から申し込みが寄せられている。

 箱根トライアルステイの特徴は、体験者や移住者をサポートする民間移住支援団体「ハコネステイル」が、行政と連携して町案内や物件相談を行っている点だ。19年に組織化され、現在は移住者5人が中心となって活動している。

 同団体のメンバーは職業も年齢もさまざま。18年前に箱根町に移住してきた鈴木清隆さん(53)は桃源台で宿泊施設を経営しており、宅建士や賃貸不動産経営管理士の資格を持っている。会社員の黒澤孝一さん(38)は「箱根で働きたい」と、12年前に移住。現在は2児の父親でもあり、子育て世代の目線から移住者にアドバイスをしている。第1回目のトライアルステイ参加者でもあった松崎展久さん(46)は、仕事の関係で山梨県と2拠点生活を送っている。

移住者目線でアドバイス

 メンバーたちは先輩移住者として、体験者の疑問や不安に率直に答えている。特に買い物をする場所や医療、教育についての質問が多く、黒澤さんは「便利さを求めると選ばれないかもしれないが、それで良いと思う。箱根だからこそ叶えられる子育ての魅力を、自分の体験をもとに伝えられたら」と話す。

 これまでに家族連れや単身者など4組が、トライアルステイをきっかけに移住してきた。新型コロナを経験し、移住を前向きに検討する人が増える一方で、課題は「住居」だという。町内に200件程空き家はあるが、戸建賃貸物件が不足しているため「庭がある家に暮らしたいが、いきなり購入するのにはハードルが高い」というニーズに応えられていない。

 そこで今年度から、町の委託を受けてハコネステイルが空き家バンクを運営。所有者に働きかけて物件登録数を増やし、受け入れ体制の充実を図る。メンバーには鈴木さんのように有資格者やDIY経験者がいるのも強みだ。鈴木さんは「移住してきたとき、地域の人たちに良くしてもらったから、箱根に恩返しがしたい」と話している。

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