小田原・箱根・湯河原・真鶴 社会
公開日:2022.10.22
給食で愛された味、今も
朝翠養蜂販売「なかよしハネー」
蜂のイラストが描かれたレトロなパッケージ。「給食のコッペパンのお供はこれだった」と小田原市出身なら誰もが口をそろえる懐かしの味がある。「なかよしハネー」は、世代を超えて現在まで形を変えず愛され続けている小分けの蜂蜜だ。
製造するのは、小田原市早川にある国産蜂蜜の専門店「朝翠(あさみどり)養蜂販売株式会社」。同社は、創業者の杉本賢次郎氏が1919(大正8)年に北海道札幌市で創業。漢方薬に入れるための蜂蜜をリヤカーで運び届けていたことを起源とし、ほどなく養蜂に適した地を探す中で温暖な小田原を拠点とすることになったという。
早川地域で養蜂、採蜜を手掛け、全国の養蜂家の協力のもと国産の蜂蜜を販売する中で「健康に良い蜂蜜を広く子どもたちに摂ってもらいたい」との思いから、1970年代より学校給食用のミニパック蜂蜜「なかよしハネー」の製造を開始。「即エネルギーになる」と子どもたちの重要な栄養源として重宝された。以来給食の定番として広がったという。現在の代表を務める4代目・杉本真理子さん(61)も小学生だった当時「給食で食べていましたね」と懐かしむ。
給食での提供後、「家でも食べたい」という要望が増えたことから、家庭用として25個入りの商品を発売した。「蜂蜜を一升瓶で販売していた時代。一食ずつ食べられるのは画期的だったのかも」と真理子さん。近年、給食費の変動や主食がパンからごはんになるなど学校給食の変化があり、学校での出番は少なくなってしまったが、「なかよしハネー」は現在も根強い人気を誇るロングセラー商品だ。
真理子さんは従来の商品を守りつつも「なかよしハネーサイダー」など現代のニーズに合わせた新商品も開発。今夏に早川にオープンさせた店舗兼カフェで販売している。「蜂蜜の魅力を伝えつづけたい」と微笑んだ。
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