鎌倉 コラム
公開日:2025.12.26
鎌倉のとっておき 第188回
かまくら花めぐり梅
寒さ厳しい中でも、早春の訪れを告げてくれる梅の花。元々は遣唐使が薬用として中国から持ち帰ったとされるが、古(いにしえ)よりその気品と香りや美しさからお花見文化の源となり、多くの歌が詠まれている。
万葉集の巻五「梅花歌三十二首幷序(ならびにじょ)」(序文)には「時に、初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き、」とあり、初春2月、気が清く澄み風も穏やかな中、梅が鏡前の女性が装う白粉のごとく咲いていると、その優美な花姿を表現している。なお、この序文の一節は、元号「令和」の由来にもなっている。
また平安期の貴族で、学問の神様とされる菅原道真が「東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」と、わが身が太宰府へ移り行くとも、春に咲き香ることを忘れずにいてほしいとの思いを詠んだ歌はあまりに有名である。
そんな梅の花咲く寺社といえば、道真を祀る荏柄天神社をはじめ、瑞泉寺や東慶寺など枚挙にいとまがないが、他にも十二所周辺では光触寺。本堂左などの紅梅が色鮮やかな花々を咲かせてくれる。さらに明王院。本堂右の枝ぶりのよい紅白梅が咲き揃う様は見事である。また十二所果樹園では約400本の白梅が咲き、霊峰富士を望む展望台付近から見渡す花々は見ごたえ十分である。
梅の見どころも数多の古都鎌倉。東風吹く季節には春の香りに包まれるまちである。
石塚 裕之
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