小田原・箱根・湯河原・真鶴 社会
公開日:2025.09.20
「当事者意識」が身を守る
松本光好署長インタビュー
年々巧妙化する特殊詐欺の手口や、車社会における社会問題の一つとなっている交通事故。小田原市と足柄下郡3町を管轄する小田原警察署の松本光好署長に、それぞれの状況や対策、また災害時の対応などについて聞いた。
――今年は特殊詐欺が全国的に急増しています。小田原警察署管内の状況を教えてください。
「管内でも特殊詐欺の認知件数は、昨年同期よりも増えています。特筆すべきは被害額です。1件の詐欺で被害額が約1億円に及ぶなど、非常に高額なケースも発生しています」
――どのような手口が多くみられますか。
「全国的にもそうなのですが、警察官などと偽り、現金をだまし取る手口『警察官かたり』が非常に目立っています。LINE電話などをかけさせ、偽の警察手帳や逮捕状を見せて信じ込ませます。手口を知っていても、いざ当事者になると冷静さを失い、言われたことが正しいと認識してしまいがちです。高齢者だけでなく、幅広い年齢層で被害が出ていることも特徴の一つです」
――被害を防ぐために管内で実施していることは。
「金融機関やコンビニエンスストア等と連携した水際対策に力を入れています。今年は8月末までに金融機関等から約280件の通報がありました。14件の被害を未然に阻止することができました」
――日頃からできる特殊詐欺対策は。
「電話でお金を要求するのはおかしい、詐欺だという認識を持っていただきたいです。大切な内容の電話は留守電に入れたり、何度もかけてくれると思います。犯人は『身内の恥は身内で解決する』という日本人の特性につけこみます。特殊詐欺は大切な財産を奪う卑劣な犯罪です。困ったときは一人で抱えず、必ず周囲に相談してください」
ルール順守が一番の交通事故対策
――管内で発生した今年の
人身交通事故の特徴は。
「8月末現在(暫定値)で発生件数426件(昨年同期比44件増)、負傷者数535人(同71人増)といずれも昨年同期より大きく増加しています。高齢者が関係する割合が高いほか、今年は飲酒運転による交通事故が増加しています」
――交通事故を防ぐために心掛けることは。
「近い距離でも飲酒したら運転しないなど『ルールを守る』ことが一番です。当署でもパトロールを強化したり、悪質な交通違反を積極的に取り締まるなどしています」
――自然災害をはじめとした有事の対策は。
「先日のカムチャツカ半島沖地震に伴う津波警報や避難指示発令時の対応を機に、新しい小田原署独自の災害対策マニュアルを作成しました。特に短時間で津波が到達する場合の警備や避難誘導計画を全面的に見直しています」
――読者へのメッセージをお願いします。
「事件や事故は『いつ自分が加害者や被害者になるかわからない』と意識を持ってください。日頃から家族や地域の人と話しておくのも良いかと思います」
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