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湯河原で蓄音機コンサートを開く 村田淳一さん 宮下在住 66歳

公開:2012年5月11日

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「あの頃」を追い求めて

 〇…地元の宮下会館や湯河原町立図書館で続ける蓄音機コンサートは、毎回40人が集まるほどに定着している。きっかけは自身の還暦。「世の中にどんなお返しができるんだろう」と部屋を見渡すと父が好きだったポータブル蓄音機が目に入った。湯河原小学校に通っていた頃は飛行機や船の模型いじりにのめりこみ、蓄音機も構造を知ろうと分解。ひどく怒られたが、仕組みは心にしっかりと刻まれたという。熱海高校で無線を始めると、交信を通じて「工作オタク」の友達が増えた。日本工学院専門学校でテレビを学び、家電の店でテレビ修理に従事、20代で独立。現在は小田原を拠点に音響関係の修理などを手掛ける。歩んだ道は電気工作一直線。

 ○…部屋に入ると古びた家具と油の混ざったにおいに包まれた。所狭しと金属のアサガオが咲く蓄音機の館の主は「こっちが主役だから私の事はいいよぉ」と、困ったようにハンドルを回し、針を円盤に載せた。「まめに油をさして手入れしないとダメ。グリスが切れると人間だって…そりゃアルコールだな」。ただ昔のレコードをかければ良いというわけではない。「私の若い頃の曲」は時とともに移り変わってゆくため、各地の「骨董市」を歩いてレコードを物色する。ホコリだらけの円盤を買い、洗剤で磨いて試聴するのだが、コンサートで使えるものは100枚買って1割あるかどうか。たまったレコードは1000枚を超えた。

 ○…レコードの溝に溜まった何かがカサカサ、プチプチと響き「荒城の月」が流れ出す。この際、機種を変えて聞き比べてみましょう、と解説が弾んで止まらない。「いまどきのCDに比べたら確かに音は悪いでしょ。でもこの音が、昔の音なんです。お年寄りの心を動かす何かがあるんですよ」。現代のオーディオが重低音を出し、完全な無音を作り出すのとは違う。ラッパからは昭和の空気が吹き出していた。
 

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