日本銀行の壁面材にも使われた 『湯河原白丁場石(しろちょうばいし)』情報求ム
湯河原町に住む元高校教員の加藤雅喜さん(63)が、湯河原町鍛冶屋の採石場で掘られていた「湯河原白石(白丁場石)」の情報を求めている。石といえば江戸城や小田原城にも使われた真鶴の「小松石」が有名だが、この白丁場石は日本銀行本店(東京都中央区・国指定重要文化財)の2階壁面に使われたほどの名産品だった。小松石に比べ、白くて柔らかく、加工しやすいため、明治〜大正の建築に重宝されたらしい。
加藤さんは定年退職後に湯河原に移り住んだ。湯河原駅に使われた建材に興味を持ち研究を始め、白丁場石の存在に出会ったという。上野にある国立国会図書館国際こども図書館(旧帝国図書館)や、横浜市の神奈川県立歴史博物館(旧横浜正金銀行本店本館)などにも「白丁場石」が使われたとされ、これらも湯河原産だった可能性が高い事が判明。「白丁場石」のキーワードを頼りに、様々な建物を訪れた。また地元鍛冶屋地区の民家にも使われている事も分かった。
「箱根ジオパークに、この白い石の産出も加えてもらいたい。貴重な地質遺産を多くの人に知ってほしい」と加藤さんは話す。
チラシ配り呼びかけ
数多くの近代建築を支えた白丁場石だったが、かつての採石場はすでに放棄され、崩落がひどく近寄れない状態。加藤さんは「扱いやすいコンクリートの普及により、次第に建材の表舞台から姿を消してしまったのではないか」と推測している。湯河原からの石材運搬方法や採掘に携わった人の声など、知りたい事は山積みだが、資料が乏しいため、チラシを配り情報提供を呼びかけている。「地元の旅館で建材に使われているかも。情報をお持ちの方はぜひご一報を」と加藤さん。連絡先は【携帯電話】090・7210・6763まで。