旧吉浜郵便局舎が改築・再生 壁の中から100年前の新聞
吉浜海岸沿いの古民家が今年になって改築され、4月中旬に不動産店舗に生まれ変わった。元々は吉浜郵便局だった建物で、熱海の古民家再生などを手掛ける(有)オオクスライフアシストが改築。梁や外観などはそのままに、床や屋根を張り替えるなどしてスタイリッシュな内装に仕上がった。「玄関の形などが前から好きだった。昨年売りに出された事を知り、すぐ購入を決めました」と同社代表の橋本武博さん(42)。橋本さんは近所に住み、趣味のサーフィンで付近を度々訪れていたという。築年数は不明だったが、工事を進めるにつれてその歴史を物語る品が次々と姿を現した。屋根裏からは「和順湯」と彫られた古い薬の看板。壁の内側部材を取り出すと茶色い古新聞が。日付は明治35年、横浜港の入港状況や呉服の広告なども残っている。
湯河原にはこうしたレトロ建築や数寄屋風旅館がいくつか残り街角の旅情を高めているが、注目されることは少ない。橋本さんは「横浜のクラシカルな建築と同じように、湯河原の小さな古い建物にも日本人のアイデンティティがこもっていると思う。これを次の世代に伝えたい」と話している。