箱根町救助赤十字奉仕団の委員長になった 鈴木純一さん 入生田在住 44歳
ほっとする瞬間のために
○…「何事もないのが一番ベストなんですよ」。箱根大名行列やウォーキングイベントなどの裏方でAEDや担架を手にして控える「赤十字奉仕団」。万が一の不測の事態から救急車到着まで、人の命を左右するわずかな時間。日頃から現場を想定し心肺蘇生などの訓練を重ねている資格保持者の集まりだ。県内にある91の赤十字奉仕団のうちの一つで、今年50周年の節目を迎えた。委員長に就任してからプライベートは赤十字一色。県内を駆けまわる自家用車にも当たり前のように「マイ救急箱」が。「必要とあれば現場に行きます。町のお役に立ちたい」と身を乗り出した。
○…一万四千発が弾ける花火大会が自慢の、東京都江戸川区生まれ。大の旅行好きという両親の影響か、大学時代は「国際観光文化論」「レジャー産業論」といった観光分野を専攻。当時始めたプール監視員のアルバイトが救命の道へのご縁になった。「水上安全法救助員」になるためには過酷な立ち泳ぎをマスターしなければならない。「両ひじ上を水より上に浮かせたまま、水中の両足を全力で動かす。本当にきつかった」。猛特訓を振り返るだけで額に汗がにじんだ。
○…普段の顔は宮ノ下の富士屋ホテル・総務課係長。学生時代にバイト先の友人と箱根を訪れ、同ホテルで飲んだコーヒーの味、館内の温もりに惹き込まれて入社。玄関やレストラン、客室など様々な現場を歩いた。婚礼部門では新郎新婦と準備を重ね、披露宴の晴れ姿を見て、泣きながら料理を運んだ思い出も。
○…赤十字の活動が仕事にも直結し、自分を磨いているという。「自宅を離れた旅人が体を休める場所を求めてホテルに来る。提供する安心と安全は、赤十字の活動に通じているんですよ」。その背後のフロントに掲げられているのは「至誠」の社是。この上なく誠実な心・まごころ、を意味する2文字が骨の髄までしみ込んでいる。
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