富士に合わせ0時の山開き 湯河原の浅間神社 氏子ら伝統守る
7月1日の午前0時、湯河原町城堀の浅間神社で山開きの儀式が行われ、時を知らせる鐘とともに15人の参拝者が社に礼拝、杯を交わした。富士山浅間大社(静岡県富士宮市)の山開きに合わせたもので、雨でも開催する地元の神事だ。
会場は鳥居から石段を100mほど登った場所にある「女浅間」。さらに300mほど山道を登ると「男浅間」がある。浅間大社は「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」の一部として世界文化遺産に登録されたばかり。8世紀以前から富士山や富士山に鎮座する神を祀っている。湯河原の浅間神社は、国内各地に建立された遥拝所の一つと思われる。社に残る碑文には「天保三年」「相州土肥堀ノ内村」「西村和泉守」「富士浅間大菩薩」とあり、江戸時代にさかのぼるが、起源は定かではない。
氏子会の菅沼孝雄会長(77)によると、50年以上前の山開きでは鳥居近くに露店が並び、温泉場の芸妓衆や商店主らが商売繁盛を祈って参拝の列を作っていたという。現在は氏子の有志が真っ暗な参道に照明を持ち込んで参拝しやすく準備しているが、0時に集まるのは神事を継ぐ関係者だけになった。参加した立岡良一さん(58)は「世界遺産登録の影響はないけれど、昔のように賑わってほしい」と汗を光らせていた。
「3776」「223」 祝・世界遺産登録関連プラン続々
箱根町内の観光施設では、富士山の世界遺産登録に合わせたプランが続々と登場している。ザ・プリンス箱根の「登録記念ご宿泊プラン」では富士山を眺められる客室を用意。富士山をモチーフにしたデザートを盛り込んだ夕食や、富士山が描かれたマグカップ等が付いて2名1室利用時1名22,300円(223=フジサン)としている。箱根ホテル小涌園では標高3776mにちなんで、ホテルランチブッフェとユネッサン・森の湯(1日券)の日帰りプラン(通常6800円)を3776円で提供中。日本ホテル協会神静山梨支部に加盟する富士屋ホテルやパレスホテルなどでは、先月末まで世界遺産登録を「応援する」独自プランを販売。プラン料金のうち「223円」を世界遺産登録推進団体に寄付するなどして、今回の登録を後押ししていた。
波及効果は
登録から2週間足らずだが、富士登山は昨年を上回る賑わいを見せている。富士の名前を冠する企業や、富士山周辺の観光関連企業の株価が大幅アップするなど、波及効果が出ている。
一方で富士のお膝元・御殿場市の観光協会によると「取材は増えているが、富士登山以外の観光動向に大きな変化はない」という。富士を望む観光名所としてアジア系観光客の多い平和公園(仏舎利塔)も、富士を望む芦ノ湖スカイラインも、町観光協会も「変化はない」と口をそろえる。
「まだ登録されたばかりで雲が多い時期だし、影響はない。富士の眺めが良い期間は1年の三分の一程度」(乙女峠のふじみ茶屋)など町内施設からは静観のコメントも多かった。
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