やっさまつりの新曲部門大賞チーム「明和會」の代表 水谷 和美さん 湯河原町宮上在住 44歳
「できない」の一言で燃える
○…湯河原名物・やっさ祭りで新曲の大賞に輝いたのは小学生チーム「明和會」。歓喜に飛び跳ねるメンバーの華麗な衣装と対照的に、この人だけは黒シャツ姿。代表兼裏方として、毎年メンバーの水分補給や体調管理に忙しい。普段どんな特訓を施しているのかと思いきや、チームのこだわりは「礼儀」という。練習時、携帯電話とゲームは持ち込み禁止。保護者たちは「どの子もウチの子」と、注意すべき時は他人の子であれ容赦しない。踊りは初心者に合わせる。チーム全体の見守りと底上げが息の合った動きを生み出した。
○…湯河原小・中・高校に通った地元っ子。小さな頃からプラモデル好きで、父に買い与えられるまま車やバイクを組み立てていた。当時の愛車は仮面ライダー型自転車。ボーイッシュな趣味もあってか、大人になって就いた仕事はトラック運送業、力仕事の連続である。「できないと言われると、メラメラするんですよ」。フォークリフトの操作も特訓で身につけ、日本全国を走り尽くした。その後自身の体力を考えて地元の病院に転職。介護の仕事を続けながらステップアップを志し、30歳を過ぎて看護学校へ入学した。胸中の「メラメラ」は3年の勉強の末、戴帽式のロウソクに灯った。
○…ママ友2人と「明和會」を結成したのが8年前。練習場所もなく海浜公園の片隅で踊っていた当時から、メンバーは60人の大所帯に。3年前に卒業生や保護者による姉妹チーム「遊心和楽(かずら)」(約40人)も誕生し隣町で披露するまでになった。次の目標は「連覇や受賞よりも、まつりを盛り上げたい」。ふと、子どもの頃の「やっさ」を振り返った。コースは不動滝を出発し桜木公園までを踊る今よりずっと長丁場。それでも人垣は延々と続き、旅館の窓から人が身を乗り出していたという。今のやっさとは比べ物にならない光景。だからこそ今、燃えるのだろう。旗振り役はもう次の夏に向け動き始めている。
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