戻る

箱根・湯河原・真鶴

公開日:2013.11.15

鉄のブドウも鉄のバラも咲かせる
湯河原の「鍛冶屋」

  • 炉で熱した鉄棒を何度も叩いて延ばす。白く輝いていた塊はオレンジ色になり次第に暗い紅色へと冷えてゆく。「冬はいいけど、夏はきつい作業。肩も慣れました」

 湯河原の地名でもおなじみの「鍛冶屋」が鉄のブドウやバラなどユニークな鉄の装飾品を生み出している。住宅の門扉や壁などを飾る「ロートアイアン」というジャンルで、アールヌーヴォー様式を思わせるデザインが持ち味だ。上原すすむさん(41歳・宮上在住)は20年ほど前に家業のステンレスなどの建築部材の製造や加工を継いだ。1ミリ以下の精度を問われる世界で腕を磨いていたが、ある日精度を気にせず自由に形作る工芸の世界を知り、3年前から自作を始めた。コークス(石炭由来の燃料)をくべた炉は自作したもの。炎に鉄を突っ込むと数分で加熱して輝く。これを叩いて生まれた波紋や、粘土のような捻じれ模様などは手作りならでは。上原さんは「叩いているとストレス発散になる。もっとこの世にないモノを作りたい」と汗をにじませていた。

I000465748.jpg

    • LINE
    • X
    • Facebook
    • youtube
    • RSS