新名物なるか「湯河原オリーブ」 「真鶴でも増やしたい」
脱サラの大同久志さん(吉浜)120本栽培
関東では少ないオリーブの栽培が、湯河原や真鶴町で始まりそうだ。吉浜の「大同ファーム」では2年前に120本の苗を植え、本格的な収穫を目指している。
大同久志さん(50)は外資系IT企業を退職後に県農業アカデミー(海老名市)で学び、実の値段が高めのオリーブに着目。妻・千香さんの「石鹸を、原料を育てるところから作りたい」という夢もあり、東京から夫婦で湯河原に移住した。農地を借りて植えた苗は高さ1mほどだったが、2年でほぼ倍のサイズに成長し、3ヵ月前に初収穫。合わせて約10キロだったが、ここに至るまでは苦労の連続だったという。オリーブは根が浅い。湯河原の柔らかい土壌の上では風で倒れやすく、紐で補強するとカラスが来て取ってしまう。オリーブの幹を食い荒らす害虫(ゾウムシ)対策にも悩まされた。初しぼりのオイルをパンにつけて食べると「油を含む普通のオリーブの味がした。できた、という気持ちがわいた」。収穫は来年から本格化する予定で、今は剪定に忙しい。
二宮町が目指す100トン
県内でのオリーブ栽培は二宮町の農家が先駆けで、すでに二宮産のオリーブ油が土産として売られている。現在は坂本孝也町長の肝煎りで特産物化に取り組んでおり、30年後、100トンの生産が目標。平成24年度を 「オリーブ元年」として1000本の苗を農家に配り、町所有の農園などに植えた。今のところ8割は順調に育っているという。二宮町産業振興課は「他の野菜に比べて、生のオリーブは実が渋く鳥や獣に食べられない。神奈川の降水量や日照も栽培には支障ない」と意気込んでいる。
小田原市では来年度からオリーブ栽培に向けた検討組織を立ち上げようとしている。市内には早川や片浦、久野などに170ヘクタールもの遊休農地が点在しており、中でもミカンやキウイの樹が放置されているケースがある。加藤憲一市長は打開策の一つとしてオリーブに注目。昨年6月には国内最大級の産地である香川県小豆島を訪問し、農園などをまわった。「地場産オイルがあれば蒲鉾などの消費拡大にもつながる」(市長)という期待もあるが、小田原も手探り状態でのスタート。市農政課は「前向きに進めたい。どの品種が良いのか防虫なども含め研究が必要」と話した。
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