神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS

庭園の紅葉をライトアップした町立湯河原美術館の館長 池谷 若菜さん 湯河原町鍛冶屋在住 54歳

公開:2014年12月5日

  • X
  • LINE
  • hatena

絵の傍らで16年

 ○…レンガ風の美術館。その前身は廃業した老舗旅館だった。かつて敷地にあった建物に夏目漱石が逗留したこともあり、訪れるファンも多い。「皆さん深く調べて来られますね。私達が知らない事まで」。語り口は女将のよう。敷地には温泉やぐらが立ち、客室の名残もあるが、こうした建物で美術品を所蔵するのは一苦労だ。温度や湿度を計り、加湿器や除湿機を駆使してコンディションを調節する。ケースの中には竹内栖鳳や安井曾太郎といったビッグネームの作品ばかり。プレッシャーはいかほどか。

 ○…鍛冶屋出身で今も鍛冶屋住まい。大工の家に育ち、自宅脇には作業場、近所には父の手掛けた住宅も建っていた。口癖は「飯は早く食え」。怪我をしても動じない職人気質の後姿を見て育ったという。湯河原中、小田原高校を卒業後、専修大に進学。漫画研究会に入り、同人誌に作品を寄せた。町役場に就職後も10年ほど絵画教室に通って静物や風景を描き続けた。「作品はとても表に出せません。絵描きじゃない事が良く分かりました」とぽつり。

 ○…だが”ご縁”はそんなことでは切れなかった。働きながら通信過程で学芸員の資格を取得したこともあり、同館オープンを前にスタッフとして抜擢された。それから16年。色づいた紅葉をライトアップし、夏にはモネゆかりの睡蓮が開く観光名所となった。初の女性館長として辞令を受けたのが3年前。肩をすくめて「正直、まいったなぁと。今でも力不足ですよ」。

 ○…先月末、同館が作品を所蔵する画家・平松礼二氏が地元小学校を訪れ、児童が描いた墨絵をもとに日本画について語った。学校に働きかけ、平松氏も快諾、初の試みが形になった。アイデアの種になったのは「子どもたちに来てほしい」という願い。子どもが自発的に美術館に来るのは稀なこと。「大人が教えなければ」。敷居が高くなりがちな場をもっとオープンに――館長はドアを拡げている。

箱根・湯河原・真鶴版の人物風土記最新6

前野 和子さん

手製の布ぞうりが中米コスタリカの大使館内に展示された

前野 和子さん

真鶴町岩在住 77歳

4月19日

DJ MIDORIさん

エフエム熱海湯河原 開局20周年イベントに出演した

DJ MIDORIさん

湯河原町在住 27歳

3月22日

梅原 雄蔵さん

被災地ボランティアとして東北に通う

梅原 雄蔵さん

湯河原町土肥在住 71歳

3月8日

吉田 幸恵さん

箱根温泉おかみの会会長を務める

吉田 幸恵さん

箱根町湯本在住 61歳

2月22日

後藤和彦さん

湯河原みかんグルメ&スイーツサミットV2の「オレンジメンチ」を考案した

後藤和彦さん

湯河原町土肥在住 50歳

2月8日

守屋 セイさん

足柄下郡3町唯一の助産院で院長を務めていた

守屋 セイさん

湯河原町門川在住 91歳

1月25日

あっとほーむデスク

  • 5月1日0:00更新

  • 4月19日0:00更新

  • 1月25日0:00更新

箱根・湯河原・真鶴版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2019年5月1日号

お問い合わせ

外部リンク