真鶴町商工会長に選ばれた 藪田 徹也さん 真鶴町在住 59歳
名門出身、いざ登板
○…「他に適任者がいるんだけど、みんなの意見を聞いて一生懸命やらなきゃ」。さばさばとした口調に緊張がこもる。これまでの6年間は副会長として支える立場。会長の重責を何度も目の当たりにしてきた。これからは中小企業の代表として行政関連の協議会や各種団体との二人三脚や三人四脚が待っている。
〇…大道通りの八百屋に生まれ、小さい頃は店番も手伝った。「小松菜とホウレンソウを間違えて、父にすごく怒られてね。だから店を継げなかったのかも」。真鶴中で野球に出会い、東海大相模に進学。名門野球部の寮生活では「洗濯係」や「ラーメン係」などのある独特な縦社会。汗と涙にの毎日で「やめたい」と思った事は数知れず。練習中にボールが当たり、前歯2本が折れて血だらけになっても「グローブで取れ」と檄が飛んだ。100人以上の部員がせめぎ合い、憧れのユニフォームも実力で勝ちとらねばならない。苦笑いを込めて「あの経験は大きかったなぁ」。現在会社横にネットが張られ、バットとボールが積んである。地元の野球少年たちのため15年前に作った雨天練習場だ。昨年夏、憧れの甲子園出場をかなえてくれたのは、長男の裕貴君だった。同じ東海大相模に入り、先輩・後輩の仲。今でも休日は試合観戦に足を運ぶ。
〇…普段は不動産会社の社長で一級建築士の横顔をもつ。東海大建築学科在学中から建設会社でアルバイト。技術を習得した後は自分でトラックを借り、卒業前から工事を請け負っていた。その後宅建の免許を取り不動産会社を設立。その応接間には「全員が東海大相模OB」という家族の写真と、手掛けた物件の写真が大切そうに掲げられている。仕事の醍醐味は何と言っても人との出会い。「この町を気に入ってもらい、人口増加が実感できる。嬉しいですよ」。絶景の真鶴を語ったら止まらない、町のトップセールスマンがマウンドに立った。
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