箱根の星空観察会の解説役など、箱根ジオミュージアム学芸員として活動する 山口 珠美さん 箱根町在住 34歳
観光地でひらけ科学の扉
○…梅雨の合間の18日に箱根でも運よく星空が広がった。1年前に始めた星空観察会もすっかり月1の行事。ほのぼのとしたイベントだが、近隣の天文ファンやマイ望遠鏡を抱えた子も参加し、不思議な連帯感もある。「近隣の宿泊客も気軽に来られる場にしたい。星を入口にして科学全体に興味を持ってもらえたら」と前傾姿勢だ。
○…福岡県出身。小さい頃から科学雑誌「ニュートン」をめくり、どこかぼんやりした子だったという。高校卒業後に信州大学に進学。当時見ていたドラマ「白線流し」のシーンに天文台や長野県が登場したこともあり美しい星空への憧れもあった。入った先は火山や岩石など主に地面の分野。天と地の開きはあったが、岩石に含まれるマグマのガスを調べるうち、その成分が噴気や雨などを介し、ダイナミックに天地を循環する動きに惹きこまれた。
○…大学卒業後に高校教諭、東京・お台場や川崎市の科学館の非常勤職員として働き、2年前に大涌谷にオープンしたジオミュージアムの学芸員に。専門知識を生かし、黒卵の黒くなる理由などユニークな企画展などを開いた。そんな中、昨年5月5日、「ミュージアムに入れない」という一報が入った。大涌谷は立入禁止となり、群発地震は止まず、噴火に至った。職場に通えなくなり1年経つが学芸員としての情熱は途切れていない。周辺の公共施設で大涌谷の現状をパネル展示したり、火山の実験を開くなど、伝え続ける。
○…箱根は昼間の美景で語られる事が多いが、森に包また夜空も格別だ。偶然にも流れ星に出会うと、こう念じる。「もっと沢山の星が見られますように」。たまに休暇が取れると愛用の望遠鏡を抱えて海外まで足を伸ばすことも。そっとスマホをひらき、インドネシアで撮ったという皆既日食を見せてくれた。世界が急に暗くなり、元に戻る不思議な動画。幸せそうに目を細めていた。
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