今月、真鶴町が神奈川県内で初の「過疎地域」となった。人口減少などの一定条件をもとに国が指定するもので、真鶴町は2015年までの45年間で、以前の人口の約3割にあたる約3千人が減ったほか、2015年の若年者比率が11%を下回ったこと(10・6)、2013〜5年の財政力指数が0・5以下(0・49)など、複数の条件が当てはまった。近隣では伊豆の下田市も新たに過疎地とされた。
企業誘致プラス面も
過疎は寂れたイメージが強いが、国の優遇策も見逃せない。保育所や消防施設などを整備する際には国の補助金がかさ上げされるほか、企業誘致面でも多少のメリットがある。企業が真鶴町内に進出する際、町外の事業用資産を売り払うと売却益にかかる課税の大部分が先送りされる。製造や旅館業、農林水産物の販売業者が町内で一定額の設備投資をする場合、町が条例を変えて税を免除したり軽くする事もできる。その分町の税収は減るが、7割は国が補ってくれる。
一定の条件はあるものの「過疎債」の借入れができるようになるのも大きい。借金返済の約7割は国が補い、町の負担は3割で済むもので、町道や観光振興施設、厚生施設など様々なインフラ整備に活用でき、観光プロモや廃屋撤去といったソフト事業の予算に充てる過疎自治体もある。この仕組みを利用するためには県が「自立促進方針」を定め、これに沿う形で町が「計画」を立てなければならない。町には駅前周辺整備などの懸案や、眠った観光資源とも言われる亀ヶ崎(旧水族館跡)の開発構想などがあり、こうした事業への活用も考えられる。全国の先進事例を研究しながら、真鶴らしい戦略を立てられるかどうか注目を集めそうだ。
町は今月22日(土)午後2時から町民センターで町政報告会を開き、宇賀町長をはじめ町幹部が過疎地域とは何かを語り、今後の方針を説明するという。