ススキ草原の清掃を続ける仙石原温泉旅館組合で組合長を務める 石村 郁夫さん 箱根町仙石原在住 60歳
ソロもこなす、まとめ役
○…金色に輝くススキ草原で仲間とともに長年清掃活動を続けてきた。草をかき分け虫に刺されてゴミを探す理由は、子どもの頃に駆けた草原をありのままに残したいから。昔はトラック数台だったポイ捨ての量もかなり減った。ゼロにはならないものの、この日は同じ組合のハッピを着て、地域の絆を感じる時だ。大涌谷の火山活動の際はかつてない苦境を共に乗り越えた。「私たちは理屈では逆らえない自然と共存している。ひたすら誠実に頑張る事を学びました」。名所を美しくするだけでなく、宿泊という仕事を磨き続けるため、仲間と地方へ視察旅行に出ることもある。
○…本業は明治4年創業という指折りの老舗宿で周りは野鳥のさえずりが響く原生林。周りにほとんど人は住んでいない。そのせいか玄関での接客から水道工事と、できる事は何でも一人でこなしてしまう。少年時代はヤマメやマスを求めて沢を歩き、名人として何度か釣り雑誌にも掲載された事も。明星中の卒業後は玉川学園高校、国学院大と進み、仙石原から通学する日々を送った。20代で父が役員を務める組合に仲間入り。それまで1日を首都圏で過ごしていたせいか、地元の人間関係の濃さと体育会系なノリに驚かされた。初日の歓迎会でお猪口に注いでまわっていると、コップで返ってくる。50杯ほど飲んで布団へ直行した。「私は28歳で痛風になりましたが、組合に大人にしてもらったようなものです」。
○…趣味は密かに練習するギターで、ブリティッシュロックが好き。小学生の時にテレビで見たライブ映像に刺激されて以来、レスポールなど名器を相棒にしてきた。今は休息の合間にギターや歌声などを多重録音して聴く、独りバンド状態。オリジナル曲を持っているそうだが非公開とのこと。硬派な表情を少しゆるめ「実はススキ祭りで演奏を、という声もあって…」。こればかりは仲間のもうひと押しが欲しいところだ。
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