物語でめぐる金沢 『海に降る』(幻冬舎文庫)朱野帰子著(幻冬舎【2015】)文・協力/金沢図書館
人類は月にまで足跡を残していますが、この地球上に未だ到達できない場所が存在します。それは深海。この本は「地球最後のフロンティア」と言われる深海を舞台にした冒険恋愛小説です。
有人潜水調査船「しんかい6500」初の女性パイロットを目指す主人公の天谷深雪。しかし同船の制作に携わった父への葛藤から閉所恐怖症を発症してしまいます。内径2mの耐圧殻内に乗り込んで暗黒の大深度に向かう調査船パイロットにとっては絶望的な状況です。
そんな深雪の前に現れた広報部の高峰浩二は、深海生物学者だった父親の夢を引き継いで未確認生物を発見したいと言いだします。しかしパイロットでも研究者でもない彼が調査船に乗船できる見込みはありません。「しんかい6500」に乗り込むという目標を共有し、それぞれに大きな障害を持つ二人は最初反発しあいますが…。
「しんかい6500」も、その所属する「JAMSTEC・海洋研究開発機構」も実在しています。JAMSTEC本部は横須賀市夏島町に、横浜研究所は金沢区昭和町にあります。小説でも、主人公の住居が金沢文庫駅の近くであったり、横浜研究所のイベントを担当するなど、金沢が頻繁に登場します。
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