報徳二宮神社の表参道に8月30日、創建120周年記念事業として新たな大鳥居が建立された。
辻村山林で伐採された樹齢300年の大杉を御用材に、地元の木に関わる職人らの手により約2年の歳月をかけて進められてきた事業。30日には鳥居の最上部にあたる笠木を神社まで運ぶ「御木曳き」が行われた。一般公募による参加者は約500人。歴史的瞬間を見届けようと、沿道にも大勢の人が詰めかけた。
「二宮神社の鳥居 皆でひこう ワッショイ ワッショイ」。掛け声をあげながら、紐を引いて歩くコースは馬出門から神社まで約500m。真鶴町から参加した長瀬行男さん(56)は「50年に1度と聞いたら参加しないわけにはいかなかった。厳かな気持ちになりました」、長田心都ちゃん(富士見小4年)は「お父さんとお母さんが結婚式をあげた神社。鳥居を引っ張ることができてすごく嬉しかった」と感想を話した。
午後からは「立柱祭」として、運ばれた笠木などをもとに作業を開始。職人らにより木遣り歌が歌われるなか、最後は木槌で笠木をおさめる作業が行われて鳥居が完成した。草山明久宮司は「ただただ感謝を申し上げるだけ。御祭神もきっと喜んでくださっていると思う」と述べた。
加工に携わってきた御木曳き実行委員長の高木大輔さんは、「伐採された大杉が多くの職人の手を経て美しい御用材となった。小田原の中心にある神社で鳥居として立ち続けることは感慨深い」、同じく芹澤毅さんは「作業を通じてずっと見てきた御用材だが、鳥居として立った姿を見ると改めてその表情が美しい。一つひとつの仕事が尊かった」とそれぞれホッとした様子で振り返った。
鳥居は今後、9月17日(日)に、くぐり初めが行われる。
遠州森町の山車が小田原に
行列の最後尾には静岡県森町中飯田本城館の山車が左右にうねりながら列に加わった。
この山車は小田原で最古の商家・(株)ういろうや報徳とも縁のある遠州森町で1894(明治27)年に作られたもの。森町で最も古く、新調する時期を迎えていたところ、外郎武社長が購入に名乗りを上げた。外郎社長はこの山車を今年11月に地元の自治会に寄贈する。
式典では「山車引渡式」が行われ、中飯田本城館の榊原芳一さんから外郎社長に手振りの鐘(鈴)が手渡された。外郎社長は「地元自治会の山車として来年5月、お祭りに登場します。お楽しみに」と語った。