緑区 人物風土記
公開日:2016.02.25
横浜マイスターの庭師として市内の学校で職業講話を行っている
荒川 昭男さん
霧が丘在住 70歳
「石はともだち」
○…職業講話では実際に校庭に出て、昔ながらの技法で石を持ち上げる方法などを指導している。子どもたちが機械を使わないやり方に悪戦苦闘しながらも、協力して挑戦する姿が大好きだと笑顔を見せる。「学校や年齢によって生徒の持つ空気は違うが、できた時に感動してくれるところは一緒。その姿と輝いた目を見ると自分の仕事が間違っていなかったとも思える」と頬を緩ませる。
○…庭造りをするときに心がけているのは、石に心を開くこと。「石っていうのは人類が誕生するよりもずっと前から地球にある。こちらが意のままにすることなんてできっこないんですよ」と話す。依頼主の希望と自分の理想とする庭を完成させるため、石や木などに心を開いて接することで、なんとか形を作ることができるという。「自然の心を理解するためには一生勉強」と目を細める。
○…生まれ育った目黒区は当時”職人の溜り場”のような街だった。子どものころから屋敷の壁に立つ職人の勇ましい姿と、あっという間に木を剪定する早業に魅了されていた。「やんちゃな自分を叱ってくれる職人は近寄りがたい存在ではあったが、その仕事は本当に格好良かった」と振り返る。そうした思いから東京農業大学で造園について学び、卒業後滋賀の庭師に弟子入り。厳しい師匠のもとで研鑽をつんだ経験を活かし35歳で横浜に「庭師荒川」を立ち上げ、数々の作品を手掛けてきた。「最近は年も取ったし、若い者に任せようと思ってはいるけど、ついつい前に出て作業したくなっちゃう」と笑う。
○…職業講話は今後も続けていきたいと意欲を見せる。師匠は98歳までハサミを握っていたが、自分は最前線に立ち続けるより後進に植木の魅力を教えていく方針。「今でも海外の旅行先で遺跡や庭園から新たな自然の魅力に気づく機会がたくさんある。そうした発見を伝えていきたい」と意欲を語った。
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