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たとえ末期がんでも克服できる時代へ--「免疫治療」の最前線とは?
すい臓がん、肺がん、大腸がん、乳がんなどでの死亡数は年々増加し続けており、2013年のがん死亡数は1985年の約2倍に上る。一方で、見事に乗り越えてカムバックを果たした人も多い。現在再生医療でもっとも身近ながん免疫細胞治療は、血液中の免疫細胞から7日間でがんワクチンを作りだすというもの。神奈川県内で800人以上の免疫治療(2008年7月〜2016年12月)を行っていることで知られる『新横浜かとうクリニック』の加藤洋一院長に話を聞いた。
―近年の研究で、「がん免疫から逃げるシステム」が解明され、このシステムを正常化するがん治療が注目されていますが、免疫に対するチェックポイントを教えて下さい。
このがんが免疫から逃げるシステムの中には3つのチェックポイントが存在します。そのポイントは、がんの種類や病状によって個人差が大きく、個々に調べてから治療計画を立てる必要があります。また、ポイントを見越して先回りする治療を行えば、たとえ「ステージ4」まで進行した末期のがんであっても治療効果は期待できます。
1つ目のチェックポイントは、1〜2期の初期のがんを発症している場合、手術で病巣を切除したときに「免疫の空白地帯」ができます。この空白地帯に「樹状細胞ワクチン」を投与すると免疫ができ、潜んでいるがん細胞を発見、また攻撃して再発を抑止します。
2つ目は、ステージ3〜4の進行期。肝臓や肺に転移するがんでは「がんが炎症」を起こして免疫細胞を弱らせます。このときに大量の「活性化リンパ球」を投与して、一気にがん細胞の周囲にいわば人海戦術で免疫細胞を送り込むことによりがんを弱らせます。
そして3つ目は、再発や転移による末期がんです。がん細胞は「PD―1」という免疫細胞の機能を抑制する物質を有しています。この物質の活動を阻害する「抗PD―1抗体」を投与することで、末期がんにも効果が認められています。それぞれの時期で治療のポイントを見極めれば、がんに強力に対抗できます。免疫治療の最前線はここまで進んでいるのです。
―これらの療法を、従来の3大治療と呼ばれる「手術」「放射線」「抗がん剤」と組み合わせながら、患者一人ひとりの進行ステージや部位、数などによってオーダーメイドの治療にあたっているとお聞きしましたが?
これら複数の治療法を併用することで、患ってしまったがんの治療はもちろん、未来のがんの再発防止に努めています。
また、当クリニックでは免疫細胞の調整・培養専用室・CPCを完備しています。免疫療法では治療に必要となる細胞を患者自身の血液から採取、培養しますが、多くのクリニックでは外部に委託せざるを得ないのが実情であると思います。最適と判断した治療法を即座に実行するための専用設備がクリニック内にあるということは大きな利点と考えます。
がんが進行するメカニズムの解明は、同時に「どのタイミングで、何をターゲットに、どんな治療を行うのか」の特定でもあります。たとえ末期がんであっても、うまくいけば進行期へ、そして初期へと段階を逆行させながら回復を目指せる、そんな時代なんですよ。
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こどもタウンニュースよこはま版7月4日号 |
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2022年6月16日号