港北区版 掲載号:2018年10月25日号
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日吉といえば「いちじく」 農家の杉崎さんにインタビュー

文化

 「食欲の秋」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。栗、柿、松茸?この中にぜひ列挙して欲しいのが「いちじく」。かつて名産地だった日吉では、いちじく農家が今もなおその甘い味覚を人々に届けている。

 「杉崎いちじく園」の杉崎尅巳さん=左写真=は、12アールの畑で約120本のいちじくを育てている。品種は大きな実が特徴の「桝井(ますい)ドーフィン」。田んぼや畑が広がっていた昭和初期あたりから、日吉地区ではいちじく栽培を生業とする農家が増加。昭和50年代には13件ほどが軒を連ねた。当時は川崎中央青果市場や都内の市場へ共同出荷をしており、トラックの荷台いっぱいに積まれた光景をよく覚えているという。60年前に神奈川県へ到来した「狩野川台風」により、矢上川が決壊。日吉一帯が海のようになり、舟を使って移動していたほど。被害を受けたほとんどの農家がいちじく栽培から手を引いたが、杉崎家はいちじくの力強い生命力を信じ続けた。「2、3年したらどんどん収穫できるようになったよ」。杉崎さんは30年ほど前に父から仕事を継いだ。「幼少期からいちじく畑を眺めるのが当たり前の生活だったから、苦労なんかは感じなかった。親からの財産を終わらせないぞという気持ち」

 4月の敷き藁から始まり、芽かき、棒立てなど、8〜10月の収穫期を除いてほとんど毎月行う作業に変化がある。「作業を変えながら成長を追っていくことが楽しい」と杉崎さん。とにかくデリケートないちじくは、大きな葉が強風に揺さぶられると倒れてしまい、暑すぎると実が小さくなる。「口じゃ言わないけど、態度で示してくれる。だからいちじくと会話し続けるんだ」。天候への配慮のほか、防虫・防鳥対策など多くの工夫がなされているという。

 杉崎さんが丹念に育てるいちじくは、とにかく甘みが強いと評判。近隣地区のみならず、藤沢市や三浦市、都内や埼玉県からも予約が殺到する。「待てなくてスーパーで買ったら、味が全く違った。やっぱり杉崎さんのじゃなきゃ」という人もいたというから、信頼は厚い。

地元小の教材に

 矢上小学校では3年生の社会科授業で、地元の名産であるいちじく栽培について学んでいる。佐治秀朗校長をはじめ、社会科担当の鎌田康一教諭などが、杉崎さんを一年間取材して作った手製のデジタルブックを活用。ワンタッチで調べたい項目のページを閲覧できる仕組み。児童はタブレットを自分の手で操作しながら学び進めていくので、興味津々だとか。一通り学習が終わると実際に杉崎さんの畑へ。「芽止め(木の成長を止めること)の基準は?」などハイレベルな質問が飛び交うほどの”いちじく博士”が順調に成長しているという。

デジタルブック。マークをタッチして各ページへ
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