神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
港北区版 公開:2025年5月22日 エリアトップへ

戦後80年 平和への道 体験者の「リアル」届け戦争の記憶を継承

社会

公開:2025年5月22日

  • X
  • LINE
  • hatena
体験者の「リアル」届け戦争の記憶を継承

小机町在住 木村光義さん(79)

 「戦時中のことを語る人が少なくなってきた中、戦争の悲惨さを、戦争を知らない世代に語り継いでいきたい」。そう語るのは、神奈川県退職公務員連盟(以下、退公連)港北支部の前支部長で、「戦争体験を語る会」を担当する木村光義さん(79)だ。

 木村さんは、元小学校教諭で後に校長も務めている。「自分が教師になりたての頃は、毎年5月29日は、朝会や学級で横浜大空襲の話をするなど、市全体で平和教育に取り組んでいた。戦争を繰り返さないために、その悲惨さを伝える取組みでね」と回顧する。その後、指導要領が変わり、どの学校でもだんだん取り上げなくなっていったという。市教職員組合でも教育委員会に学習の実施を呼びかけてきたが、「教員の現場は忙しくて、各人に任せていたら衰退していった。戦争を知らない子どもたちが増えていって、なんとかせねばと常々思ってきた」と語る。

 そうした思いの中で、木村さんは教員時代からずっと戦争にまつわる資料を集めてきた。引退後に所属した退公連で、木村さんの活動を知った当時の支部長に促され、約10年前に「戦争体験を語る会」をスタート。これまでに、年1回、コロナ禍での休止を挟み、7回講演を開いている。会員の中の体験者に話をしてもらうことから始まり、近隣に住む体験者を募りながら進めてきた。「横浜大空襲での集団疎開や、サイパンでの兵隊とのやり取り、遺体の腹部にめり込んでいた時計を遺族に返す取組み、予科練習生が受けた爆撃――。皆の生の声は印象深いものが多く、どれも心に残っている」

届く感謝と課題

 講演のたびに、聴講者からは「貴重な戦争体験の共有、ありがとう」「平和のありがたさを伝える方が減っているので、とても良い機会だった」などの感想が聞かれ、会の必要性を強く感じた。過去にドイツに住んでいたという中学生からは、「ドイツでは、ナチスや誤った戦争について授業できちんと教わった。日本では教わる機会がなかった。今回、退公連でこうした取組みをしてくれて、感謝している」という手紙が届いたこともあった。

 課題もある。戦後80年を迎え、戦争を実体験として語れる人は少なくなってきた。「体験者をどう発掘していくか――」。見つけたとしても、「当時のことを話したくない」という人も多い。聴講者の中には、「生々しい体験談に、自分の父親が、戦争のことを話してくれなかった理由がわかった」という感想もあったという。

 同時に、「語り部の育成」も。区役所に登録しているボランティア、「港北区まちの先生」にも現在、語り部が2人いるが、稼働は年に1、2回ほどだ。「とにかく携わる機会がない。今の教員たち、校長にしても平和教育を受けていない世代。『どう伝えればいいかわからない』という声も聞く。できれば学校の中で、幼い頃から平和の尊さを伝えていってほしいのだが」と木村さん。「退公連の社会貢献の大切な取組み。課題に向き合いながら今後も地道に続けていきたい」

港北区版のローカルニュース最新6

横浜産野菜が勢ぞろい

季節の野菜も

横浜産野菜が勢ぞろい

6月29日 新横浜公園

6月21日

詐欺・消費者トラブル啓発

横浜市

詐欺・消費者トラブル啓発

介護保険料通知書にチラシ

6月21日

横浜市、中小企業の省エネ設備に助成金 7月から募集開始

生命保険と法の講演

生命保険と法の講演

7月5日 大倉山記念館

6月20日

横浜農業をまなぶ

新羽小

横浜農業をまなぶ

講師は「ながさわファーム」

6月19日

地域の環境活動を表彰

横浜市

地域の環境活動を表彰

 7月31日まで、応募受付中

6月19日

小学生と関わる仕事をしてみませんか?

小学校内及び民間施設等の職場で、放課後の子どもたちの学習支援や遊びを行います。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/hokago/houkago-jinzai.html

<PR>

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

港北区版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

バックナンバー最新号:2025年6月21日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Facebook