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港北区 社会

公開日:2025.08.28

災害時の弱みに着目 地下型津波シェルター
「高台へ逃げて」の代替案

  • 「オクト5」の想定ジオラマ

  • 想定ジオラマを指さす山田さん

 防災・防犯用品の販売などを行う(株)セットアップ横浜(新横浜・徳丸義洋代表取締役社長・奈良建設100%子会社)は現在、(株)クラミー技術研究所と地下型津波シェルター「オクト5」の共同開発を行っている。これは、水中に逆さに沈めた容器に空気が留まるのと同様の原理を応用し、内部に空気層を保持することで水の侵入を防ぐ、地下設置型の津波シェルター。さらに、潜水艦の扉に応用された技術により、水が内部に入り込まず、空気が圧縮されるのを防ぐ(株)クラミー技術研究所が取得した特許技術も特徴のひとつである。同シェルターは、従来の”高台への避難”に代わる新しい災害対策として、”地下への避難”に焦点をあてている。

命を諦めないために

 東日本大震災では津波の高さが40mを超える地域もあった。津波避難タワーといった高所への避難場所が各県で建設される中、高齢者や体の不自由な人にとって高台への避難が大きな課題となっている。「津波避難所がある県での取材で『あんなところ(遠くて)行けない』と高齢の方が言っていたことが印象に残っていて」と話すのは(株)セットアップ横浜営業本部長の山田紀雄さん。「高齢の方や体の不自由な方、多くの人の命を守るために、実用化に向けて模索中です」と真剣な表情で続けた。

 既存の津波対策である高台避難や津波避難タワーが抱える”時間内に到達できない”という課題に対し、同シェルターは行政施設や企業などの施設に併設し、高台避難と併用することで、避難困難者を救うための補完的な役割を担うことを目指している。

課題と戦略

 「建設には多額の費用がかかります」と思案顔の山田さん。防災先進県の高知県には現在、津波避難タワーが9棟あることを例に出し「災害は予測不能。行政や企業と連携し、スピーディに対策をとることが理想」と話す。現時点で実用開始時期は未定。まずは認知を広めるべく、奔走中だ。

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