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港北区 社会

公開日:2025.12.13

創業62年 大倉山「豊屋」
老舗の灯に一旦、幕

  • 昭和44年、現在地に開店した当時の豊屋

  • 思い出を語る二代目・齊藤守彦さん

 大倉山エルム通りの風景の一部として親しまれてきた「豊屋寝装店」が、12月30日(火)をもって現在の店舗での営業を終了する。創業62年。慣れ親しんだ場所を離れ、来年2月頃、周辺地域での再開を目指すという。

 昭和39年、山梨県出身の先代・齊藤春雄さん(86)が創業。大田区・糀谷の「豊屋」での住み込み修業を経てのれん分けで独立し、当初は歓成院の前に店を構えた。44年に現在の場所へ。二代目の守彦さん(55)にとって、店は生活そのものだった。「当時は2階が住居で、店の奥の戸を開けるとすぐコタツがあってね」。先代は”バイタリティの塊”のような人だった。「母によれば『仕事の虫だ』って」。がむしゃらに商いに励み、高度経済成長期の波に乗って顧客との信頼関係を築いてきた。この商店街にまだ歩道もなく、バスが砂煙を上げていた頃から、「エルム通り」へと生まれ変わる変遷も、この場所から見つめてきた。

 今回の決断は、契約更新時の条件変更に加え、ネット通販の台頭など環境の変化も重なった。「接客しても購入はスマホで完結する時代。正直、寂しさはある」と唇を噛む。しかし、「時代に合わせて商売の形も変わる時」と前を向く。

 「ここまで続けてこられたのは、父が積み上げた信用と、地域の方々のおかげ」と守彦さん。感謝を胸に、最終日まで店頭に立つ。

 なお、ふとん仕立て直し・リフォームの受付は閉店後も継続する。

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