都筑区仏教会の新会長に就任した 伊藤 浩雅さん 池辺町在住 60歳
志は高く、敷居は低く
○…今年度から都筑区32カ寺の顔として旗を振る。「『そろそろ若い人に』と御鉢が回ってきた」と冗談めかす。宗派を超えて情報交換や親睦が図れる仏教会の長所を生かし、定例の事業に加え、新しい取組みも念頭に置く。2022年に横浜市と市仏教会で締結した災害時の協力に関する協定を、区単位に落としこむ動きも進めたい考え。「僧侶の姿を見せていくのも必要」とPRにも前向きだ。
○…静岡の生まれ。建築を志し、金沢の大学に進学。東京の建築会社に就職後、24歳で生涯の伴侶と見染めた女性が高野山真言宗圓國山観音寺の一人娘だった。「(僧侶には)ならないよ」と8年間拒否していたが、「さすがにそういうわけにもいかなくて」と33歳で高野山に。一回り下の世代の若者たちと1年間一緒に修行した。「体力的にきつかった」と懐かしそうに振り返った。
○…「人は寺に困っているから相談にくる。だから結論を出すのではなく、一緒に考える姿勢で」。そんな先代の教えを胸に、訪れる人たちに気さくに声をかける。気持ちを汲み、気を遣える姿勢は「サラリーマン時代の経験が活きているかも」と得心する。訪れる人が「ホッとする」といい、年配者の中には2、3時間話し込む人も。「寺の古さもあって、敷居の低さが良いのかも」と自嘲気味に笑った。
○…僧侶の仕事は「思いのほか体力がいる」と実感を込める。体力維持のためのウォーキングは、夕飯を終えてから。日中は自由に買い物をする時間もないため、閉店間際のショッピングモールまで歩く。32歳の息子は修行を終え、高野山本山で仕事をしている。「いつ帰ってくるのやら。そもそも帰ってくるのかな」と心配そうに苦笑した。