昔、お世話になった思い出の町、小田原に感謝を込めて―。
鶴ヶ峰で理容店「BARBER NAMEKAWA」を営む行川道子さん(69)が昨年11月、小田原市などが主催するウォーキング大会「城下町おだわらツーデーマーチ」に参加した。
その目的は「50年来の夢だった」という、住み込みで働いていた地への「お礼参り」。一昨年、脊髄や腰の大手術を受けた体で、30Kmのコースを完歩した。
参加のきっかけは、新聞で偶然見つけた記事。初めての大会で30Kmコースは勇気のいる選択だったが、「このコースでないと、お店のある町にたどり着かないから」と、参加に踏み切った。
朝8時過ぎに小田原城を出発。50年ぶりに歩く小田原で「当時を振り返りながら、写真を撮って楽しく歩いた」と行川さん。かつての職場だった理容店では、従業員と会話を交わし、懐古の念に浸った。
ゴールの小田原城に戻ってきたのは、制限時間が迫る午後3時半ごろ。最後尾だったが、100人近い役員たちに温かく迎えられた。
◇
福島県出身の行川さんは、6人姉妹の4番目。5歳で父親を亡くし、中学校を出て「手に職を」と、15歳で理容師の道を歩み始めた。「親孝行したい」との思いで、19歳から3年間、縁あって小田原市国府津の理容店で働き、33歳で今の店に嫁いだ。数年前に夫が他界し、現在は一人ではさみを握り続ける。
◇
「NAMEKAWA」には、数十年来の常連客や100歳近い高齢者も訪れる。「お客さんや家族、みんなの応援のおかげでここまで来られた。理容室はみんなが気軽に話せる憩いの場」。3年前に旧店舗で始めたカラオケの貸しホールにも、多くの地域住民が集う。
「健康をモットーに欲張らず、お店を続けていきたい」と微笑んだ。
|
<PR>
旭区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|